(ブルームバーグ):財務省が20日に実施する20年国債入札に債券市場で警戒感が強まっている。衆院解散・総選挙を巡り与野党が消費税減税を公約に盛り込む見通しとなり、財政規律への懸念が再燃。国債利回りが急上昇(価格は下落)する中で、投資家の買い意欲を疑問視する声が聞かれ始めた。
高市早苗首相は19日夕の記者会見で、23日に衆院を解散すると表明した。食料品にかかる消費税の軽減税率を一時的に引き下げることを公約に掲げ、来月8日投開票の総選挙に臨む。消費減税については複数メディアが、首相が公約に盛り込むことを検討していると報道していた。
消費減税案を含めた積極財政の加速による財政悪化が懸念され、20年債利回りは19日、1999年以来の高水準を付け、30年債と40年債の利回りはそれぞれ発行開始以来の最高水準を更新した。歴史的な金利上昇局面で実施される今回の入札は、超長期債への投資需要を見極める重要な試金石となる。
バークレイズ証券のストラテジスト、江原斐夫氏と門田真一郎氏は19日付のリポートで、「各党公約では拡張的な財政政策が主張されるリスクが大きい」と指摘。仮に財源の裏付けがないまま食料品の消費税撤廃が意識されれば、20年のタームプレミアムに約7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の上昇圧力がかかると分析した。
また、昨年7月の参院選直前の入札が、各党公約にひもづく財政懸念から利回りが上昇していたにもかかわらずさえない結果だったことに言及。今回も弱めのシナリオが類推されるとの見方を示した。
高市首相は19日の会見で、食料品の消費税ついて、2年間に限り軽減税率の対象から外す考えを示した。自民党と日本維新の会との連立政権合意書に盛り込んだ政策でもあり、「私自身の悲願でもあった」と語った。立憲民主、公明両党が結成した新党「中道改革連合」は、赤字国債発行に頼らない消費税減税を打ち出す考えを示している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、衆院選を前に財源や政権の枠組みが見通しにくく、選挙結果が出るまで金利は不安定な動きが続きやすいと話す。その上で、20年債はもともと需給が緩んでいるため「入札は弱めになる可能性がある」と述べた。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストも20日付のリポートで、20年債入札は絶対金利水準での投資妙味はあるものの、「カーブ(利回り曲線)上は安くなく、環境を踏まえると流れる(不調な結果となる)リスクが大きそうだ」との見方を示す。
市場では、週内に予定される日本銀行の金融政策決定会合への関心も高い。円相場がインフレに与える影響に対する日銀の姿勢を手掛かりに、将来の利上げ経路を探る動きが強まっている。今週は政策据え置きが有力視されるものの、声明や植田和男総裁の会見内容次第では、次の利上げ時期を巡って市場の観測が強まる展開もあり得る。また、28日には40年債入札が控えている。
--取材協力:日向貴彦.
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