デンマーク自治領グリーンランドを巡り欧州の同盟国に新たな関税を課すとしているトランプ米大統領の警告について、ドイツのメルツ首相は、対応を和らげるようフランスのマクロン大統領の説得を試みていると述べた。

ブルームバーグの週末の報道によると、マクロン氏は欧州連合(EU)の「反威圧措置(ACI)」の発動を要請する意向だ。ACIは貿易面でEUの最も強力な対抗手段とされる。しかし、メルツ首相は19日、輸出への依存度が大きいドイツは、ACIの発動にはより慎重な姿勢だと語った。

メルツ氏はベルリンで記者団に対し、「フランスが米関税の影響を受ける程度は、われわれと異なる」と語り、マクロン氏が「われわれよりやや強硬に対応したい」と考えるのは理解できると指摘した。

ただ、次の対応を協議するためブリュッセルで22日に開かれるEUの臨時首脳会議を前に、「共通の立場を目指しており、実際にそれを実現する方向だ」と述べた。

トランプ氏がグリーンランド領有を目指す自身の試みに反発した欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟8カ国に関税を課すと脅したことに対し、欧州首脳の間で動揺が広がっている。トランプ氏は「グリーンランドの購入」で取引が成立しない場合、欧州8カ国からの輸入に2月1日から10%の関税を課し、6月には25%に引き上げると発表している。

EUは、トランプ大統領が撤回しなければ、米製品930億ユーロ(約17兆円)相当に関税を課すことを協議している。これらの措置は既に承認済みで、必要であれば迅速に実行できる。対象製品には、ボーイングの航空機、米国製自動車、バーボンウイスキーなどが含まれる。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の試算によると、トランプ氏が関税率を25%まで引き上げるとの脅しを実行した場合、対象国の対米輸出は最大50%落ち込む恐れがあり、ドイツが最も大きな影響を受ける国の一つとなる。

追加関税は、長年の停滞から脱しつつあるドイツにさらなる打撃を与えると考えられる一方、報復の応酬が欧州と米政府の幅広い関係を悪化させ、ウクライナに対する米国の軍事支援さえ危うくなる恐れがあると当局者は懸念している。

ドイツのクリンクバイル財務相は19日、トランプ氏がレッドライン(越えてはならない一線)を越えたと先に指摘したが、メルツ氏は同相よりも融和的な姿勢を示した。同相は即時の発動を求めることは控えたものの、トランプ氏が2月1日から10%の関税を課すとした脅しを実行に移した場合に備え、欧州の同盟国にACIの準備を促した。

メルツ氏は、ドイツはEUのパートナーに加え、同盟国である英国やノルウェーとも緊密に連絡を取っていると説明。米欧関係をさらに損ない、経済活動を抑制するようなエスカレーションを防ぐことが重要だとの認識で一致していると述べた。

「われわれは米国と貿易戦争を望んでいないが、不適切と考えられる関税に直面すれば、対応する立場にある」とメルツ首相は語り、今週スイスのダボスで開かれる世界経済フォーラムでトランプ氏と会談できることを期待しているとした。

英国のスターマー首相は19日午前の「緊急」記者会見で、グリーンランド領有を目指す意向に対抗したとして英国や他の欧州諸国に関税を課すとしたトランプ氏の脅しは「全く筋違い」と批判した。

一方で、英米の関係は「極めて重要だ」と強調し、「トランプ大統領の下でも、歴代大統領の下と同様に、この関係を強固に保つ決意だ」と語った。

原題:Merz Aims to Rein In Macron on EU Response to Trump’s Threat (1)、Starmer’s ‘Love Actually’ Moment With Trump May Never Come(抜粋)

--取材協力:Christoph Rauwald.

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