衆院解散・総選挙を巡る不透明感が高まる中、為替トレーダーらは来週に日本銀行の金融政策決定会合を控えて円相場のボラティリティーが再び高まるリスクに神経をとがらせている。

円の対ドル相場は今週、高市早苗首相が解散・総選挙に踏み切るとの観測から一時159円45銭と18カ月ぶりの安値を記録した。総選挙で首相の立場が強まり、政府支出の拡大につながる可能性があるとの見方が背景にある。片山さつき財務相と三村淳財務官が過度な動きに対して新たな警告を発したが、本格的な円買いにはつながっていない。

ステート・ストリート銀行の若林徳広東京支店長は、過去数カ月間ほとんど動いていなかったドル・円相場が「選挙報道で急騰した」と指摘。「ボラティリティーの高い状態は続く」とみる。

自民党の鈴木俊一幹事長と日本維新の会の吉村洋文代表によると、高市首相は19日に衆院選の公示日や投開票日などの日程を含め詳細を説明する。投資家は23日の日銀決定会合で植田和男総裁が利上げ経路に関するシグナルを示すかどうかにも注目している。

円安が一段と進むと、日本当局による円買い・ドル売り介入への懸念が高まる。当局者は特定のレートよりも変動幅や為替変動のペースをより懸念していると示唆している。

コンサルティング会社マーサーでアジア地域のマルチアセット責任者を務めるキャメロン・シスターマンズ氏は「市場は心理的水準である160円を注視するだろう」と話す。「161円95銭が2024年のドル・円の高値で、介入を誘発した水準であることから、162円が次の主要な焦点となる可能性が高い」と言う。

立憲民主党と公明党が新党結成で合意したことで、高市首相が解散・総選挙で与党の議席を伸ばす試みはより大きなリスクに直面している。これまでの円安と国債利回り上昇は、高市首相が勝利するという投資家の見方が背景にある。

日銀が昨年12月に実施した利上げは円相場を持続的に押し上げるには至らなかった。日銀が政策判断で重視する基調的な物価上昇率が目標の2%に近づく中、円安進行が物価目標の実現確度を高めたり、前倒しにつながったりする可能性はあると関係者はみている。

SMBC日興証券の丸山凜途金利・為替ストラテジストは「植田総裁の12月会合後の記者会見ではタカ派的な発言がなかったため、円が大幅に下落した」と指摘。「今回も同様の事態が起きる懸念がある」とみている。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.