16日の日本市場では、円が一時157円台後半に上昇した。片山さつき財務相の円安けん制発言後にドル売り・円買いが強まった。衆院解散・総選挙への期待を背景にした直近の急騰で過熱警戒感が広がった株式は下落。良好な経済指標を受けた米国の利下げ観測の後退などで債券も売りが先行(金利は上昇)した。

片山財務相は16日の閣議後会見で足元の円安動向を憂慮しており、「あらゆる手段を含めて断固たる措置を取るということを再三言っている」と発言。日米財務相の合意の中には為替介入が含まれているとも語った。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、財務相発言後の動きについて「ロスカット(損切り)らしきドル売りを伴って円が上昇した」と分析。ただし、けん制発言に持続性はなく、今後も「じわりと円安が進む」との見方を示した。

為替

外国為替市場の円相場は対ドルで一時157円台後半まで上昇したものの、その後はやや戻し158円台前半で推移。市場関係者の間では、日本の通貨当局による円買い介入への警戒感はある半面、解散総選挙を見据えた積極財政継続への懸念や底堅い景況感を背景にした米金利の高止まりでドル堅調の流れは続き、円の上昇は一時的との受け止めが多かったようだ。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストも、円上昇は損失確定のストップロス的なドル売り・円買いであり、一時的だと指摘。ただ、財務相発言に「断固たる」が入っており、「介入への準備は万端」とも話した。

株式

株式は下落し、TOPIXは5営業日ぶりに下げた。解散総選挙での与党勝利と積極財政観測で株高・債券安・円安が進んだ「高市トレード」の反動と週末を控えた持ち高整理の売りが先行した。医薬品や小売り、サービス、不動産、陸運株などディフェンシブや内需セクターが安く、デンマークの海運大手がスエズ運河経由の運航を再開すると発表し、運賃低下への懸念で海運株も下落。

アセットマネジメントOneの浅岡均チーフストラテジストは、今週の「『高市トレード』加速に伴う急騰は結構なスピード感だった」と話し、利益確定売りが出たと見ていた。

半面、日本銀行の根強い追加利上げ観測などからTOPIX銀行業指数は5営業日続伸し、ガラス・土石製品や非鉄金属株も堅調。前日に台湾積体電路製造(TSMC)が発表した2026年の設備投資計画を受け人工知能(AI)投資期待が再燃し、キオクシアホールディングスやフジクラなど関連銘柄の一角も高い。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、解散総選挙はひとまず株式市場で消化されたため、短期的には今月から始まる日米企業の決算が焦点になり、「AI相場堅調という雰囲気が形成されるかどうかが日本株にも影響する」と述べた。

債券

債券相場は下落。日銀による根強い早期利上げ観測のほか、新規失業保険申請件数の良好な内容を受け米長期金利が上昇したことを材料に売りが優勢となった。前日に相場が上昇した反動もあった。

農林中金全共連アセットマネジメントの長友竜馬シニアファンドマネジャーは、前日の円安進行なら利上げペース加速との記事や米金利上昇で債券相場は軟調だったと指摘。来週は日銀の金融政策決定会合もあり、今の為替水準だと「恐らく利上げの可能性を示すタカ派的な情報発信になるとの見方も債券売りにつながった」と言う。

市場の金融政策見通しを示すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)が織り込む日銀の利上げ確率は、4月までが60%程度、7月までが100%程度となっている。

また、三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、来週から解散総選挙に向け各党の公約や政策に関する内容が出てくれば、それをきっかけに売られる可能性があると話していた。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕、我妻綾.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.