(ブルームバーグ):米ニューヨーク市の第112代市長にゾーラン・マムダニ氏が就任した。予想外かつ歴史的な台頭の末、市長の座を正式に手にした。
民主社会主義者を公言するマムダニ氏は、2026年1月1日未明に就任。東アフリカ・ウガンダ生まれの34歳。ニューヨーク市初の南アジア系、初のイスラム教徒の市長であり、同市として過去100年以上で最年少のトップとなった。
ニューヨーク市長としては初めてコーランに手を置いて就任の宣誓を行った。宣誓式は旧シティーホール地下鉄駅の構内で実施。1940年代に閉鎖され、現在は使われていない駅だが、内部は装飾の豊かさで知られる。ニューヨーク州のジェームズ司法長官が式典を執り行った。

マムダニ氏は午後、市庁舎前で行われた式典で熱狂的な群衆を前に演説。「このような瞬間はめったに訪れない。変革、改革の機会を手にすることはそう多くない」とし、自身のリーダーシップの下、ニューヨーク市は「安全、手頃さ、豊かさを柱とした政策を実行していく」と述べ、歓声に応えた。
同式典での宣誓は、マムダニ氏が相談相手の一人とするサンダース上院議員によって執り行われた。サンダース議員は「ニューヨークよ、わが国に刺激を与えてくれてありがとう」と演説。
「富裕層や一部の人のためだけでなく、全ての人のために機能する政府をつくることができるという希望とビジョンを全米に示してくれた」と述べた。

また、開会のあいさつを行ったオカシオコルテス下院議員は「ニューヨークよ、われわれは恐れではなく勇気を選んだ」とし、「少数の特権ではなく、多くの人々の繁栄を選んだ」と語った。

マムダニ氏は2024年下期に出馬の意向を示した際は、ほぼ無名の存在だった。ニューヨーク州議会議員(同市クイーンズ区選出)を3期務めたが、当時10人ほどいた民主党候補の1人に過ぎなかった。
しかし、同氏は選挙戦で急速に支持を拡大し、25年6月の民主党予備選を制する。拡散力の高いソーシャルメディア動画の巧みな活用、および市内の5行政区全域に広がる洗練された草の根の資金集め戦略が奏功した。

マムダニ氏は就任後すぐに、約1160億ドル(約18兆1500億円)の予算、30万人余りの職員、250以上の部局や委員会を抱える巨大自治体のかじ取りという難題に挑むことになる。
同氏の陣営は、選挙戦で掲げたユニバーサル・チャイルドケア(全世帯への無償保育制度)の費用が年間60億ドルに上ると試算しており、企業や富裕層への追加課税で賄うとしている。
ただ、新たな増税には州議会とホークル州知事の承認が必要。同知事は増税に否定的な考えを示してきた。
また、家賃規制アパートの賃料凍結という別の公約にも、実現に向けて大きな障害が生まれた。アダムズ前市長が退任前に、こうした住宅の家賃を決める委員会に4人の委員を指名したためだ。新たな委員らがマムダニ氏の意向に沿って投票を行う可能性は低いとみられている。
ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジの名誉教授、ジョシュア・フリーマン氏(歴史学)は「いかなる市長もそうだが、ゾーラン・マムダニ氏は多くの課題に直面することになる」と述べた。
同教授は「特にニューヨーク市政府には多くの重要分野で限られた権限しかない」と指摘。市の税や資金調達の大半に関して市長には統制権限がない点を挙げ、「マムダニ氏の政策やビジョンに影響を及ぼす不確定要素は少なくない」と話した。

原題:Mamdani Takes Reins of New York After Historic Mayoral Win (1)(抜粋)
(第4-7段落に午後の式典での演説内容や写真、動画などを追加して更新します)
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