(ブルームバーグ):カナダのスポーツウエア大手、ルルレモン・アスレティカの創業者で主要株主の1人であるチップ・ウィルソン氏が、新最高経営責任者(CEO)選出前に取締役会を刷新すべきだと主張し、経営陣との対立が深まっている。
ウィルソン氏は、2026年の年次総会に向けて3人の取締役候補を指名した。オン・ホールディング元CEOのマーク・マウラー氏、ESPNの最高マーケティング責任者(CMO)を務めたローラ・ジェンティーレ氏、アクティビジョン元CEOのエリック・ハーシュバーグ氏だ。株主総会の日程はまだ決まっていないが、通常6月に開催される。
ウィルソン氏による推薦について、ルルレモンは29日の発表資料で、候補者を評価中だとした上で、現在の取締役会を「非常に熱心」で「会社の方向性や成長戦略の実行に効果的な指針を提供する能力を備えている」と擁護した。

かつて人気銘柄だったルルレモン株は今年44%下落し、アクティビスト(物言う投資家)に揺さぶられる苦境の小売銘柄へと転落した。25年11月-26年1月(第4四半期)の売上高は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の減少となる見通しだ。
かつての成長力を取り戻すことを目指す経営陣は、26年1月末に退任するカルビン・マクドナルドCEOの後任の人選を進めている。ウィルソン氏は12年に経営から退き、15年に取締役も退任したが、競合に後れを取っているとして経営陣への批判を続けている。同氏はルルレモン株の約8%を保有する株主だが、19年に取締役候補を指名する権利を剥奪されるなど、経営陣から疎外されてきた。
ルルレモンは発表資料で、取締役会および経営陣が「ウィルソン氏の見解を理解し、当社の戦略を伝えるため、長年にわたり誠実に協議を重ねてきた」と説明。過去にウィルソン氏が推す候補者名の提示を求めたが、同氏は「それ以上に協議に応じなかった」とした。
一方、アクティビストとして知られるエリオット・インベストメント・マネジメントは、10億ドル(約1560億円)超のルルレモン株を保有しており、ラルフローレンで最高財務責任者(CFO)や最高執行責任者(COO)を務めたジェーン・ニールセン氏を次期CEO候補として推すことを検討していると報じられた。
ウィルソン氏とエリオットの間に連携はないが、同氏の考えに詳しい関係者によると、エリオットの動きを自身の方針と対立するものとは見ていない。
アナリストらは、ここ数四半期で同社の成長は鈍化しており、その傾向が今後も続くとみている。「Alo Yoga(アローヨガ)」や「Vuori(ヴオリ)」などの新興ブランドに加え、価格の安い模倣品とも競合せねばならず、売上高成長率は07年の上場以来、最低水準に近づいている。

ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアアナリスト、プナム・ゴヤル氏は、アクティブウエアの競合他社をリードしているとはいえ、26年までに売上高を125億ドルとする目標の達成は難しいだろうと指摘する。
原題:Lululemon Founder Nominates Board Members, Escalating Feud (1)(抜粋)
--取材協力:Redd Brown.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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