イランの首都テヘランで市民による抗議デモが発生した。通貨リアルの急落で食料価格が押し上げられており、米国の制裁下に置かれているイランの経済危機が深まっている。

同国の国営放送は29日、テヘランにある大規模市場グランド・バザールで商人による「限定的な抗議活動」があったとするぼかし映像を放映した。一方、ソーシャルメディア上では、抗議はより大規模で、商人が営業停止を余儀なくされたとの情報が出回っている。

背景には、非公式市場で通貨リアルが28日に1ドル=145万リアルと史上最安値を付けたことがある。その後、29日午後時点では1ドル=約138万リアルにやや持ち直したが、全国的な大規模デモに発展しかねないとの警戒感が強まっている。

イラン国営メディアによると、政府の経済チームは「通貨、貿易、公共福祉政策」を協議するため緊急会合を開いた。さらに国営イラン通信(IRNA)は29日遅く、ペゼシュキアン大統領がファルジン中央銀行総裁の辞表を受理し、後任にヘンマティ元経済相を任命したと伝えた。

制裁措置はイラン経済に重くのしかかっており、とりわけ石油輸出に伴う政府の歳入が落ち込んでいる。6月にはトランプ政権がイランの核関連施設を標的とする空爆を実施。それまで数カ月にわたる米・イランの核協議は打ち切りとなった。交渉ではイランが核活動を制限する見返りとして、米国が経済制裁を緩和することが話し合われていた。

ネット上では、グランド・バザールで治安部隊が催涙ガスを使って群衆を排除する様子を映したとみられる複数の動画が拡散した。ブルームバーグはこれらの映像の真偽を確認できていない。

原題:Protests Erupt in Iran’s Capital as Rial Drops to Record Low (1)(抜粋)

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