2026年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比2.1%減となる見込みだ。半導体メモリーの供給不足によるコスト上昇と生産圧迫が背景にある。調査会社カウンターポイント・リサーチが明らかにした。

今年の3.3%増予想から一転、マイナス成長に陥る。従来は0.45%の微増を予想していたが、大幅に下方修正した。

カウンターポイントが16日に発表した調査リポートによると、スマホ販売価格の世界平均は来年、6.9%上昇する見込みだ。部品コスト全体が10-25%跳ね上がることを反映している。

今年は世界的な人工知能(AI)インフラ構築の加速によって、半導体メーカーはエヌビディアのアクセラレーター向け先端メモリーの生産を優先した。この結果、ノートパソコンや電気自動車(EV)、医療機器、家電などに不可欠なDRAMの需給が逼迫(ひっぱく)している。

Photographer: Na Bian/Bloomberg

ここ数カ月、中国の小米(シャオミ)などの家電メーカーが値上げについて警鐘を鳴らし、レノボ・グループ(聯想集団)などはコスト上昇を見越してメモリーの在庫積み増しを開始。任天堂の株価は12月に入り下落が続いている。主力製品である新型ゲーム機「Switch 2」の採算悪化を巡る懸念が強まっている。

スマホ市場では、オナー(栄耀終端)やOPPO(オッポ)といった利益率の低い中国ブランドの脆弱(ぜいじゃく)性が目立つ。カウンターポイントによれば、メモリー不足は低価格帯モデルに打撃を与える可能性が高い。

カウンターポイントのシニアアナリスト、ヤン・ワン氏は「アップルとサムスン電子は今後数四半期を乗り切るのに最も有利な立場にある」が、利益率に余裕のないメーカーにとっては厳しい状況だと説明した。

消費者にも影響を及ぼす可能性がある。カウンターポイントによれば、メーカーは利益への影響が比較的小さい高価格帯モデルへとユーザーを誘導するほか、中古部品の再利用、カメラ性能などの抑制、メモリー容量の削減といった対応を迫られる見通しだ。

原題:Chip Crunch to Curb Smartphone Output in 2026, Researcher Says(抜粋)

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