中国の中央政府が地方財政の引き締めを図る中、裕福な省でさえ、地方政府系企業がノンバンクから高コストの資金を調達せざるを得ない状況に追い込まれている。

こうした「つなぎ資金」が金融システムの不透明な一角で新たに膨らむリスクとなりつつあり、過去数年リスクだとして抑制されてきたシャドーバンキング(影の金融)市場の復活を示している。

事情に詳しい関係者によると、9月以降、山東省を含む複数の省で、地方政府が所有する産業投資会社や資金調達事業体(LGFV)、いわゆる「融資平台」が、信託会社やリース会社から総額数十億ドル規模の資金を調達したという。

関係者によれば、金利は8%以上と、債券市場での借り入れコストの3倍超に達する。低金利環境で運用先が不足していることもあり、中国のノンバンクは資金供与に応じている。

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

こうした資金需要の高まりは、融資平台を通じたいわゆる「隠れ債務」の抑制を強化したい中央政府が進める取り組みの副作用でもある。

中国財政省と国家金融監督管理総局、山東省政府の報道室は、コメントを求めるブルームバーグの問い合わせに応じなかった。

困難な実態把握 

関係者によると、利払い負担がかさむ中、プロジェクトの支払いが10-12月(第4四半期)に到来し、地方政府系の企業は事業継続とデフォルト(債務不履行)回避のために高金利での借り換えを選ばざるを得ない。

融資平台の債券発行が2020年以来の低水準に落ち込んでおり、資金不足の解消はこれまで以上に急務となっている。

中国の信託協会が3年前に業界統計の公表を停止して以降、シャドーバンキングの実態把握は困難を極めており、格付け会社フィッチ・レーティングスは、融資平台の総債務を60兆元(約1300兆円)超と推計。その約90%を銀行融資と債券が占めるとみている。残りの大半がシャドーバンクの与信を示す「非標準融資」だ。

 

中央政府は地方債務の借り換えを目的とした10兆元規模のプログラムを昨年発表しており、シャドーバンキングの復活は、融資平台を通じた簿外債務を地方政府のバランスシートに移す計画にとって後退だ。

中央政府は新たな簿外借り入れを一切容認しないと繰り返し表明。今年10月には融資平台向け非標準融資を一段と引き締める新たな規定を公表した。

中国共産党の機関紙、人民日報に今月2日掲載された論説で、藍仏安財政相は「鉄の規律」をもって新たな隠れ債務を阻止するとし、抱えている債務を返済しながら新たに債務を積み上げる慣行を断つよう指示した。

原題:China Shadow Banks Back in Spotlight With Loans for Ailing Firms(抜粋)

--取材協力:Yuling Yang、Dingmin Zhang.

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