米ニューヨーク市マンハッタンの高級住宅販売は11月に大きく増加した。企業・富裕層への増税を訴えたゾーラン・マムダニ氏の市長当選で富裕層が流出するとの懸念を打ち消す格好となった。

不動産鑑定会社ミラー・サミュエルと仲介業者のダグラス・エリマンによると、マンハッタンでは11月に400万ドル(約6億2000万円)以上の住宅176戸で売買契約が締結され、前月の141戸から25%増加した。これにはアッパーイーストサイドの「The 74」や、「ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)」の西53丁目53番地にある「53 West 53」で購入されたコンドミニアムも含まれる。これらコンドミニアム2戸の価格は、それぞれ約2400万ドルだった。

市長選に向けた期間中、マムダニ氏に批判的な向きは、同氏が当選すれば市の税収の要である富裕層の流出を招き、財政や不動産市場に打撃を与えると主張していた。だが当選から1カ月が経過した時点で、富裕層の住宅購入者は特に動じていないようだ。高級不動産ブローカー、オルシャン・リアルティーの創業者で社長のドナ・オルシャン氏によれば、むしろ最近の株式相場上昇やウォール街の高額ボーナスを背景に、この秋は住宅購入に動く富裕層が増えているという。

「マムダニ効果は存在しない」とオルシャン氏。「人々がニューヨークから逃げ出すという見方は大げさだった。数字が裏付けていない」と述べた。

同社の高級住宅市場リポートによると、市長選の週にはマンハッタンで400万ドル以上の住宅41戸の契約が締結され、その半数以上がマムダニ氏の勝利後だった。

不動産開発会社ナフタリ・グループのミキ・ナフタリ氏は、ウェストビレッジやアッパーウェストサイドといった人気エリアでは新規供給がほとんどないため、好機を逃すまいとする購入希望者は依然として物件を探していると説明した。同社がマンハッタンで手掛ける新築物件では販売は鈍っていない。コンドミニアムの価格は300万-2800万ドル超に及ぶという。

ナフタリ氏は「新市長が誕生し、さまざまな懸念があるのは確かだが、顧客は『ニューヨークが大好きだ』と言っている」と述べ、「需要に減速は見られない」と語った。

米不動産仲介会社コーコラン・グループのブローカー、ノーブル・ブラック氏は、市内の富裕層は「マムダニ氏にもかかわらず」取引を続けていると指摘。マムダニ氏が提案する富裕層課税を警戒する声は残るものの、最も強い懸念を抱く層は既にフロリダなど税率の低い州に移住済みだという。残った人々は、そうした野心的な課税が実際に実施されるとは考えていないと、ブラック氏は語る。

「富裕層は市場やニューヨーク全般に強気だ」とブラック氏。「むしろ、ニューヨークに戻ってくる人が増えている」と語った。

原題:Manhattan Luxury Sales Surge in Month After Mamdani’s Victory(抜粋)

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