トランプ米大統領は3日、米国内での軽自動車製造・販売を認める方針を示した。米国の道路では小さ過ぎて遅過ぎるとの安全面での懸念もあるが、最近の日本訪問時に目にしてすっかり魅了された様子で、その導入に道を開いた形だ。

バイデン前政権下で導入された厳格な燃費基準の緩和計画を発表したトランプ氏は、軽自動車について「とても小さくて、本当にキュートだ。それで『この国ではどうなんだろう』と聞いた」と、ホワイトハウスで記者団に語った。

ホンダの「N-ONE(エヌワン)」

その上で、「米国ではあのような車をつくることが許されていない。だが、きっとこの国でもうまくいくと思う。だから承認するつもりだ」と述べ、ダフィー運輸長官に生産を承認するよう指示したことを明らかにした。

アジアで非常に人気があるこれらの超小型車は、現時点では米国の新車に適用される連邦基準を満たしていない。

米国には、25年超前に製造された車両であれば、衝突安全基準を満たしていなくても輸入が認められるという法律があり、軽自動車は一部の熱心なファンの間でカルト的な人気を集めている。

ただ、幾つかの州では私有地内での低速走行に限られ、他の州では全面的に走行が禁止されている。主な懸念は米国の道路にあふれる大型トラックやスポーツ型多目的車(SUV)と一緒に走行するには、軽自動車が小さ過ぎて、遅過ぎて、非力過ぎるという点にある。

日産自動車の「日産サクラ」

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生シニアアナリストは日本の自動車メーカーが軽自動車を米国で製造・販売しない理由について、ビジネスとして成立しないからだと語る。市場そのものは存在するが、ニッチな領域にとどまっているとし、価格設定とコストが釣り合わないと説明した。

大統領の指示を受けて、ダフィー氏はトヨタ自動車やその他のメーカーが「より小さく、一段と燃費効率の高い」車を米国で製造・販売できるよう、運輸省が「全ての障害を取り除いた」としている。

トヨタの広報担当者はコメントを控えた。

軽自動車へのトランプ氏の関心表明は、乗用車が日米の地政学的な交渉材料として利用される最新の事例と言えそうだ。

乗用車は今年の日米貿易交渉で核心的な争点だったが、日本側が米国製自動車の輸入・販売のアイデアを示したことで、交渉材料としての価値が高まった。米国製ピックアップトラックを日本で販売するという話はとっぴに聞こえるとしても、トランプ氏には響く内容であり、トヨタやホンダなどの企業が米国内で製造した車を日本に「逆輸入」するという構想にも同氏は関心を示した。

原題:Trump Wants Asia’s ‘Cute’ Kei Cars to be Made and Sold in US(抜粋)

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