(ブルームバーグ):五輪を模した競技大会「エンハンスト・ゲームズ」を運営するエンハンストが、特別買収目的会社(SPAC)のAパラダイス・アクイジションとの合併を通じた株式公開を計画している。米資産家ピーター・ティール氏が支援している同大会ではドーピング(薬物使用)を容認している。
26日の発表資料によると、合併後の企業価値は12億ドル(約1870億円)となる見込み。SPAC株主による株式の償還がなければ、手元資金として最大2億ドルを調達できる計算だ。
また、エンハンストはいわゆる「将来株式取得略式契約(SAFE)」を通じた4000万ドルの私募増資を完了。この資金は合併後にエンハンストの株式に転換される。合併は来年上半期に完了する見込みだ。
ブルームバーグがまとめたデータによると、Aパラダイス・アクイジションは7月の新規株式公開(IPO)で2億ドルを調達。同社は当時、レジャー・娯楽分野の事業に注力する意向を表明していた。
エンハンストは2023年にアーロン・デスーザ氏とドイツ人起業家のクリスチャン・アンゲマイヤー氏が創業。陸上、水泳、重量挙げなどで、競技者のドーピングを認めるエンハンスト・ゲームズを年次開催する。元コインベース幹部で暗号資産投資家のバラジ・スリニバサン氏、トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏がパートナーを務める1789キャピタルも支援している。
エンハンスト・ゲームズを巡っては、国際オリンピック委員会(IOC)や複数の反ドーピング機関から、フェアプレーの精神に反し、アスリートの健康にも危険が及ぶとして批判の声が上がっている。世界の主要なスポーツ団体はドーピングを禁止している。
同大会は、来年5月にラスベガスで初開催を予定しており、短距離自由形およびバタフライの競泳、陸上競技、重量挙げが行われる。競泳五輪代表のベン・プラウドや、パリ五輪陸上男子100メートルの銅メダリスト、フレッド・カーリーなどが出場に合意している。
エンハンスト・ゲームズのウェブサイトによると、同大会に出場する選手は「最高額の出場料と賞金を獲得し、世界新記録を樹立すれば最大で数百万ドルの追加ボーナスも支給される」と示している。
原題:Enhanced Games to Go Public in $1.2 Billion US SPAC Merger(抜粋)
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