木原稔官房長官は25日の記者会見で、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受けた中国側の日本批判に関し、必要に応じて反論していく考えを示した。

木原氏は「事実に反する中国側の主張は受け入れられず、政府として反論、発信していく必要がある」と述べた。その上で、日中関係について「双方の努力により課題と懸案を増やし、理解と協力を増やしていく方針に変わりはない」と指摘。日中間の対話には「日本側はオープンな立場だ」との考えを改めて強調した。

日中関係を巡っては、南アフリカで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で高市首相と中国の李強首相との接触は行われず、早期改善が困難となっている。中国は国連事務総長に書簡を送付するなど態度を硬化させており、木原氏の発言は中国の動きをけん制しつつ、対話の機会を探る日本側の姿勢を改めて示した形だ。

21日には中国の傅聡・国連常駐代表がグテーレス事務総長に、日本が台湾海峡情勢に武力介入した場合、断固とした自衛措置を取ると警告する書簡を送付。日本は山崎和之国連大使が24日付で中国側の主張は事実に反し、根拠に欠けるとする書簡を同事務総長に送付した。

また、駐日中国大使館は21日、X(旧ツイッター)で第2次大戦中の「敵国条項」に関する国連憲章の規定を根拠に、日本が「再び侵略政策に向けたいかなる行動」を取った場合、中国には安全保障理事会の承認を得ずに「直接的な軍事行動」を取る権利があると主張した。

これに対し、日本の外務省は23日、Xに同条項は1995年の国連総会決議により死文化していると投稿した。

内閣支持率は高水準を維持

高市首相の発言で日中関係が悪化しているものの、報道各社が先週末に行った世論調査で同発言を問題視する人は少数派で、内閣支持率は発足直後の先月調査で記録した高水準を維持している。

産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が22、23両日に実施した合同世論調査では、高市内閣の支持率は前回の10月調査と比べ、0.2ポイント減の75.2%で高水準を維持した。毎日新聞が同時期に行った調査でも65%を記録した。

台湾を巡る国会答弁については、産経・FNNで「適切だ」との回答が「どちらかといえば」を含め、計61.0%にのぼった。毎日でも「問題があったと思う」としたのは25%で、「問題があったとは思わない」は50%だった。

読売新聞が21日から23日にかけて行った世論調査でも、高市内閣の中国に対する姿勢を「評価する」は56%と半数を超え、「評価しない」は29%だった。内閣支持率は72%と前回の71%を1ポイント上回った。

--取材協力:鎮目悟志.

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