ドイツのメルツ首相は、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催都市ブラジル・ベレンを批判したと受け取られ、波紋を呼んでいる自身の発言に関して謝罪するつもりはない。首相報道官が明らかにした。

メルツ首相は先週13日の会合で、ドイツは「世界でも有数の美しい国だ」とスピーチ。自身に同行してCOP30を取材した記者団はベレンを離れて帰国できたことを喜んでいるとの見方を示した。

発言はブラジルメディアに大きく取り上げられ、同国政府当局者からは強い非難の声が上がった。

メルツ首相の首席報道官であるシュテファン・コルネリウス氏は、こうした反応について「事実に基づいていない」と発言。長時間で疲労を伴う1日を終え、代表団や同行記者団はできるだけ早くドイツに帰りたいと思っていただろうと首相は言ったに過ぎないと釈明した。

同報道官は19日の定例記者会見で「われわれは世界でも有数の美しい国に住んでいると首相が言う場合、それは他の国々はそう美しくないという意味ではない」と弁明。

COP30の場でメルツ首相はブラジルのルラ大統領と「非常に建設的な協議」を行い、「短い訪問ながら良い印象を持って」帰国したと、同報道官は説明した。

メルツ首相は19日遅く、謝罪するかどうかという記者団からの質問をかわした。

同首相は、ルラ大統領との間で「非常に良好な個人的話し合い」を楽しんだとし、ルラ氏に親愛の意を伝えるようシュナイダー環境相に依頼したと説明。

「私はドイツが世界でも有数の美しい国だと言った。ルラ大統領がそれを受け止めてくれると思っている」と語った。

週末に南アフリカで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の場でルラ大統領に会うのを楽しみにしていると付け加えた。

キリスト教民主同盟(CDU)党首でもあるメルツ氏(70)はその率直な発言が、たびたび波紋を呼んでいる。

先月はドイツには移民が多過ぎると示唆し、有権者を極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」支持にますます追いやりかねないと、野党議員らから批判された。

一方のルラ大統領はメルツ首相の発言を受け、ベレンを州都とする北部パラ州に滞在中にメルツ氏はバーに行って踊るべきだったと述べた。

「私はずっと彼に言っていたんだ。『マニソバを食べなさい、いつでもね』と」。マニソバはパラ州先住民の食文化に由来する、同州を代表する煮込み料理。

「彼はパラの料理を実際に味わうべきだった。独ベルリンではパラ州、またベレン市が持つクオリティーの10%も得られないと気付いたはずだ」と、ルラ氏は語った。

原題:Merz Won’t Apologize for Remarks That Caused Brazil Outrage (1)(抜粋)

--取材協力:Augusta Saraiva、Daniel Carvalho、Travis Waldron、Arne Delfs.

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