立証のハードル高い「死者への名誉毀損」 告訴の裏側には⋯
8月、竹内さんの妻は弁護士のもとを訪ねた。夫への名誉毀損の疑いで、立花容疑者を刑事告訴したのだ。記者会見の前日に打ち合わせが行われた。
竹内英明 元県議の妻
「いつまでも中傷され続けるって、こちらに何か非があるんだろうかって」
石森雄一郎 弁護士
「『非はない』って、はっきり言っていいと思いますよ」
相談に応じた石森雄一郎弁護士は…

石森雄一郎 弁護士
「何の法的責任も問えない形で終わらせてしまうと、これからの日本における選挙は、デマを言ったもん勝ちの選挙になるのは間違いない。警察や検察には、しっかりとした捜査・処分を望みます。それは10年後の日本の民主主義を、大きく左右すると思う」
今回、立花容疑者に対する告訴は、竹内さんの生前だけではなく、死後の名誉毀損にまで踏み込む異例のものだった。
竹内英明 元県議の妻
「反論することもできない死者を愚弄し蔑む。死してなお、辱めを与える。悲しみの底に沈み、もがき苦しむ私たち遺族にとって、このような耐えがたい地獄があるでしょうか。私は夫の尊厳を守りたい」
示された内容が真実か虚偽かを問わない「生前の名誉毀損」に対し、「死者への名誉毀損」は、よりハードルが高い。
ポイントは立花容疑者が、「逮捕」の情報を“虚偽と知りながら”発信していたのかどうかだ。
竹内さんの妻の代理人で、元検察官の郷原信郎 弁護士が注目したのは、立花容疑者が投稿した映像。報道特集の取材を受ける場面を自ら撮影したものだ。

立花孝志容疑者(立花容疑者のYouTubeより)
「お亡くなりになったと聞いた時点では、僕は法律詳しいですから、『明日逮捕される予定だった』っていうことに関しては、この情報が嘘だったとしても問題がないと思ってそれを出した」
郷原信郎 弁護士
「『嘘だったとしても問題がないと思ってそれを出した』、これ決定的な言葉。嘘でも大丈夫だと思ったって言ったら、じゃあ嘘だと思ってただろって話。これはかなり『虚偽性の認識』の証拠になる」
__警察はこの事件に着手して死者の名誉毀損(容疑)も含めて逮捕に至りましたけれども?

郷原信郎 弁護士
「そこがものすごく大きな意味がある。今回のように亡くなった直後、遺族が悲嘆に暮れているときに、遺族が慕う故人の尊厳を害する、こういうことをやったら絶対だめだと、世の中に示すことができるんじゃないか」
立花容疑者に応援され当選した斎藤知事。逮捕については、「捜査中であるためコメントは差し控える」と言及を避け続けている。
村瀬健介キャスター
「知事を中心とする県政の混乱が続いているように見えるが、知事はこの間の自身の行動の中で反省すべき点、改めるべき点はあったと考えるか」

兵庫県 斎藤元彦 知事
「様々なご批判や指摘というものは、真摯に受け止めていく。自分なりの県政を、着実に進めていくことが大事だと思っています」