(ブルームバーグ):米テスラがアップルの車載システム「カープレイ」への対応を進めていることが、事情に詳しい関係者の話で分かった。顧客からとりわけ多く寄せられている要望に応える形となる。
テスラは現在、社内で同機能のテストを開始した。非公開情報だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。カープレイはiPhoneのソフトウエアを車載システム向けに最適化した形で表示できるプラットフォームで、他の自動車メーカーは何年も前から対応している。
カープレイの採用は、テスラとイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)にとって、大きな方針転換となる。マスク氏は長年、カープレイの実装を求める顧客の要望を無視してきた。アプリ配信サービス「App Store」の方針などを巡りアップル批判を繰り返してきたほか、アップルが電気自動車(EV)開発に乗り出した際には、エンジニアを引き抜かれたとして強い不満を示していた。
関係者によると、テスラは今後数カ月にカープレイ対応を導入する計画について協議している。だが、まだ最終決定しておらず、実際の提供はさらに後ずれする可能性もあるという。同社は長期間開発を進めてきた新機能であっても、中止または延期することで知られている。
テスラはコメント要請に応じなかった。アップルの担当者もコメントを控えた。
テスラは自社で開発した車載インフォテインメント(車載情報・娯楽システム)を採用しており、メッセージ送受信やウェブ閲覧など独自のアプリや機能を備えている。これまではアップルによるテスラ顧客へのアクセスを増やすことに強く反対してきた経緯があり、特にアップルがEV分野でテスラの競合になることを目指していた時期はその傾向が顕著だった。
しかし、状況は変わった。アップルは2024年にEV開発プロジェクト「タイタン」を中止し、撤退を決めた。一方で、マスク氏は現在、ソーシャルネットワーク「X」や対話型人工知能(AI)サービス「Grok」を配信する上で、アップルを不可欠なパートナーとして重視している。テスラの販売も低迷しており、カープレイに対応していないとの理由から購入を見送る動きも出ていた。
原題:Tesla Developing Apple CarPlay Support in Bid to Boost Car Sales(抜粋)
(第2段落以降に詳細を追加して更新します)
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