株高は“期待先行” 構造的課題の解決は見通せず
金融市場においては、米中摩擦の緩和を好感する向きが見受けられるなか、中国本土株(上海総合指数)も一時10年ぶりに節目となる4000を回復する動きをみせている。
しかし、中国当局による内巻問題への対応策の効果は依然として不透明であり、加えて原材料価格の上昇を製品価格に転嫁することが難しい状況が続いており、企業業績の改善に繋がるかは見通しにくい。
さらに、昨年来の中国本土株は中国当局による政策期待を反映して急上昇する動きをみせてきたものの、足元においてはさらなる政策は期待しにくい状況にあるほか、ディスインフレ圧力の根強さも重なる形で上値の重い展開となる可能性は残る。
先月の4中全会(中国共産党20期中央委員会第4回全体会議)で討議された第15次5ヵ年計画についても、GDPに占める家計消費の割合を『顕著に』引き上げる方針は示したものの、その具体的な方策は示されておらず、見通しも立ちにくい状況にある。
こうした状況も、足元において中国経済への過度に楽観的な観測を抱くことは禁物であることを示唆している。
※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹
