イタリアの高級車メーカー、フェラーリの7-9月期(第3四半期)決算は、利益と売上高がともに市場予想を上回った。値上げと特別仕様車への需要増が寄与し、米関税や中国市場を巡る懸念を打ち消した。

4日の発表資料によると、7-9月期の純売上高は前年同期比7.4%増の17億7000万ユーロ(約3100億円)。EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は5%増の6億7000万ユーロだった。

「SF90 XX」や「12チリンドリ」などの出荷に加え、高収益の特注オプションを選ぶ顧客が増えたことが好業績につながり、230万ドル(約3億5000万円)のスーパーカー「デイトナSP3」の出荷減や米関税の影響を相殺する形となった。

フェラーリ株は4日のミラノ市場で3.2%高で終了。ただ、年初来では15%近く下落している。

先月の投資家説明会で慎重な業績見通しを示した後、同社株は2016年以来の大幅安を記録していた。

フェラーリは最大市場である米国の関税を巡る不確実性のほか、中国での需要低迷や高級品市場全体の失速といった逆風に見舞われている。

全ての車両をイタリアで生産するフェラーリは3月、トランプ米大統領が発表した輸入自動車への追加関税に対処するため、一部モデルの価格を最大10%引き上げると発表。その後、米関税率が27.5%から15%に引き下げられたことから、ベネデット・ヴィーニャ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会見でこうしたモデルの値上げ率を5%に戻すと表明した。

ベネデット・ヴィーニャCEO

フェラーリは現在、移行期にあり、限定版デイトナSP3の納車完了が近づく一方で、12チリンドリやハイブリッドスーパーカー「F80」などの新型車投入を進めている。アナリストは、高価格の特別仕様車の出荷が始まるまで、利益率は低めの水準にとどまるとみている。

原題:Ferrari Shrugs Off Tariffs With Higher Third-Quarter Profit (2)(抜粋)

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