ソフトウエア最大手の米マイクロソフトは、これまでに確約したネオクラウド(次世代型クラウド事業者)への投資額が600億ドル(約9兆2100億円)を上回った。人工知能(AI)が必要とする演算能力の確保が急務であることがあらためて示された。

関係者によると、その中で最大の契約は英スタートアップ(新興企業)のエヌスケールと交わした約230億ドル。関係者はこの額がこれまで開示されていなかったことを理由に、匿名を条件に明らかにした。マイクロソフトは英国とノルウェー、ポルトガル、米テキサス州の施設でエヌビディアの最新チップ「GB300」約20万個を利用できるようになるという。

マイクロソフトも他のソフトウエア大手と同様、AIツールを開発する社内チームや顧客の需要に応じるため、データセンターの整備に苦戦している。コアウィーブやネビウス・グループなどの小規模なインフラ事業者、いわゆるネオクラウドへの依存を強めている。マイクロソフトによるネオクラウド企業への支出は、10月上旬の時点からほぼ倍増した。

 

マイクロソフトは3日、オーストラリアのIRENからAIクラウドのキャパシティーを約97億ドルで購入する契約を締結。ラムダとも数十億ドル規模の契約を発表。マイクロソフトのネオクラウド契約は5年契約のものが多いと、関係者は述べた。

マイクロソフトの広報担当者は「当社の世界インフラ戦略は顧客が発信する短・長期の需要シグナルに基づき、柔軟性と選択肢を重視したものだ」との声明を出した。自前のデータセンターとリース施設、第三者プロバイダーを組み合わせることで、世界的な需要に迅速に対応できると説明した。エヌスケールはコメントを控えた。

 

ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、アヌラグ・ラナ氏はマイクロソフトが締結した一連のネオクラウド契約について「AI需要の急増によって業界全体が深刻なキャパシティー不足に陥っている現状を裏づけている」と指摘した。

原題:Microsoft Neocloud Deals Cross $60 Billion in AI Spending Frenzy(抜粋)

--取材協力:Olivia Solon、Mark Bergen.

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