1|現行制度と改正の概要:パート労働者の賃金や企業規模の要件と個人事業所の業種制限が廃止へ
厚生年金の加入(適用)対象となるか否かは、個人の就労状況(労働時間等)に加えて職場(事業所)の形態等も影響する。
正社員の場合、法人の事業所は業種や規模に関係なく強制加入の対象となるが、個人事業所は法定業種かつ常時5人以上を使用する場合に強制加入の対象となる。
パート(短時間)労働者の場合は、上記に加えて、企業規模(会社全体の正社員数)など固有の要件(制限)も存在する。
2025年6月に成立した改正により、
(1)パート労働者の賃金の要件を最低賃金の上昇に合わせて廃止、
(2)パート労働者の企業規模の要件を段階的に緩和して廃止、
(3)個人事業所について業種の制限を廃止(ただし既存事業所は当面対象外)、
という適用拡大策が決まった。
なお、パート労働者の賃金要件は、法改正では公布後3年以内の廃止が規定されたが、来年4月には全都道府県の最低賃金が時間要件の下限(週20時間)で働いた場合に賃金要件(月8.8万円)を超える水準(1016円超)に上がる見込みになった。
そのため、この要件は来年度に廃止される可能性がある。
