(ブルームバーグ):アラブ首長国連邦(UAE)最大の産油企業、アブダビ国営石油(ADNOC)のスルタン・アル・ジャベル最高経営責任者(CEO)は3日、世界のエネルギー産業は年間4兆ドル(約620兆円)の投資が必要になるとの見方を示した。データセンターと人工知能(AI)の急成長によって需要が押し上げられているためだ。
アル・ジャベル氏はアブダビで開かれた会議で、長期的な需要の伸びは原油の供給過剰に対する懸念を上回るだろうと述べた。同氏によれば、投資家は電力網の刷新を含め、データ需要の急増を支える資源を開発する必要がある。

UAEなどの産油国は生産能力を拡大しているが、多くのアナリストは、来年にかけて原油の供給過剰が続き、価格をさらに押し下げると警告している。ブレント原油は年初来で約13%下落。一段の値下がりを食い止めているのは、輸送の遅れや供給途絶の懸念といった地政学的リスクだ。
アル・ジャベル氏は「短期的な不確実性は現実のものだが、長期的な需要は堅調だ」と指摘。「その需要に応えるための対応は、データに焦点を当てるべきだ」と述べた。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスは、12月に小幅な増産を実施した後、来年1-3月(第1四半期)は生産量の引き上げを一時停止することで合意した。
アル・ジャベル氏は、石油需要は2040年以降も日量1億バレル超を維持し、追加投資が必要になるとの見通しを示した。
UAEはエネルギー投資拡大の動きにも主体的に動いていく意向で、アル・ジャベル氏は同国が「ビジネスに門戸を開いている」と強調。ADNOCの国際部門XRGがさらなる取引を模索していることを明らかにした。
原題:Adnoc CEO Says AI Raises Energy Investment Needs to $4 Trillion
(抜粋)
--取材協力:Dina Khrennikova.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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