(ブルームバーグ):中国はレアアース(希土類)金属を対象とした追加輸出規制の実施を事実上停止し、米国の半導体サプライチェーン関連企業に対する調査を打ち切る。ホワイトハウスが発表した。
ホワイトハウスは1日にファクトシートを発表し、10月末にトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が合意した通商協定について、一部詳細を説明した。
合意に基づき、中国はレアアースとガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、黒鉛の輸出について一般輸出許可を付与する。これに伴い、2022年10月と25年4月に導入された輸出規制措置は実質的に撤廃される。中国はまた、今年10月に発表していたさらに厳格な規制についても、1年間停止する方針だと、米中は先に表明していた。

中国は、輸出管理制度の下で事前承認された買い手に対し一定期間にわたり繰り返し出荷を認める条項を指すものとして一般輸出許可という用語を使用している。記載された金属のうちガリウムとゲルマニウム、アンチモンの3つは、輸出規制対象に追加されたことで2024年12月から米国向け輸出が全面的に禁止されていた。
今回の合意には、中国がエヌビディアやクアルコムを含む米半導体企業に対して行っていた独占禁止法や反ダンピング関連調査を終了することも含まれている。匿名を条件に語った米当局者が明らかにした。
米国側もトランプ大統領が導入した上乗せ関税の一部について、停止期間を1年延長するほか、11月に発動を示唆していた対中100%関税の実施を中止する。また通商法301条に基づく関税の適用除外措置を26年11月10日まで延長する。従来は今年11月29日までとされていた。
ベッセント米財務長官は2日、合意は成立したが、米国と同盟国は中国に対する警戒を怠るべきではないと述べた。
同長官は「FOXニュース・サンデー」で「この問題は数十年にわたって存在しており、レアアースやレアアース磁石に関して、これまで一度も対処されてこなかった。中国は市場を独占しており、残念ながら、時には信頼できないパートナーだった」と語った。
ベセント氏はさらに、今回の合意実施後に中国が「より信頼できるパートナーとなる」ことを期待していると述べた。
一方、在ワシントンの中国大使館は2日、「中国は、両国首脳の重要な共通認識を実行に移すため、米国と協力する用意がある。対話と協議を通じ、問題のリストを継続的に短くし、協力のリストを長くしていく」とコメントした。

今回の米中首脳会談は、トランプ大統領にとって2期目に入って初の対面協議であり、激化する貿易摩擦で市場が動揺し、世界景気減速への懸念が高まる中で、短期的に関係を安定させるものとなった。
ホワイトハウスによると、中国はレアアース磁石の包括的な輸出規制を停止することに同意し、その見返りとして米国は中国企業への制裁拡大を一部撤回する。中国はレアアース精製で世界的な優位性を持ち、これを米国や同盟国に圧力をかける手段として利用していた。
米国は合成麻薬フェンタニルに関連した関税を20%から10%に引き下げることにも同意。中国は米国産大豆など農産物の購入を再開する。米政府によると、中国は今季1200万トンの大豆を購入し、今後3年間は年間少なくとも2500万トンを輸入する予定だ。トランプ氏は10月31日、中国によるフェンタニルとその原料の輸出取り締まりの成果が確認できれば、この問題に関連した追加関税を全廃する考えを示していた。
トランプ氏は大統領専用機の機内で記者団に「それを確認し次第、残りの10%も撤廃する」と述べていた。
中国商務省に3日、ファクスでコメントを求めたが、返答はない。
オランダの半導体メーカー、ネクスペリアの中国工場についても、中国政府が出荷再開を認める措置を取ると米国は発表した。中国工場からの半導体輸出停止で欧州などの自動車生産への影響が懸念されていたが、輸出再開が発表によりこうした懸念は和らぐ見通しだ。
米中の合意によって緊張は和らいだが、あくまで一時的な停戦であり、措置はいずれも1年間に限定されている。米中双方が一定の譲歩を受け入れたとはいえ、通商摩擦の根幹や台湾問題、ロシアのウクライナ侵攻など、より広範な地政学的課題を包括的に解決する内容には至っていない。
トランプ氏はまた、バイトダンスのTikTok(ティックトック)米事業を米企業連合が買収する計画を承認済みだが、中国政府はまだ正式に承認していない。トランプ氏はエネルギー分野でも協力を進める意向を示し、中国がアラスカ産の原油・天然ガスを購入することで合意したと述べた。
原題:China to Suspend Some Rare-Earth Curbs and US Chip Firm Probes(抜粋)
(ベッセント氏の発言、中国大使館のコメントなどを追加して更新します)
--取材協力:Maria Paula Mijares Torres、Martin Ritchie.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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