著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイでは、現金保有額が7-9月(第3四半期)に3817億ドル(約58兆7800億円)に急増。過去最高を記録した。同社の営業利益は34%増加した。

1日の発表によれば、営業利益は135億ドルに達し、自然災害の発生が平年より少なかったことから保険引受利益が3倍を超える増益となった。

バークシャーは8月に医療保険サービスのユナイテッドヘルス・グループ株式を16億ドル相当購入。10月にはオキシデンタル・ペトロリアムの石油化学部門オキシケムを、約97億ドルで買収すると発表し、バフェット最高経営責任者(CEO)の買収意欲が復活したように見えた。しかし第3四半期は動きを控え、期間中に61億ドル相当の株式を売却した。

現金残高が膨らむ一方で、投資利益は短期金利の低下を背景に13%減の32億ドルだった。

保険事業については、一次保険と再保険の両部門がそろって税引き前ベースで引受利益を計上。前年同期は赤字だった。

ただし、自動車保険子会社のガイコでは保険金請求の増加により税引き前の引受利益が13%減少した。それでも新規契約者の獲得は続いているという。

同社は保険をはじめ、鉄道、エネルギー、製造業など幅広い事業を抱える複合企業であることから、その業績は米経済全体の健全性を測る指標としても注目されている。

新時代近づく

グレッグ・アベル副会長がCEO職を引き継ぐ時期が近づいていることも、投資家の関心を一段と高めそうだ。

バークシャー鉄道事業のBNSFでは、農産物やエネルギー輸送の増加を背景に営業利益が5%増の14億ドルとなった。一方、パシフィコープやミッドアメリカン、NVエナジーを運営する公益事業部門では、営業利益は9%減の15億ドルだった。

バークシャーは自社株買いを5四半期連続で見送った。バフェット氏が年末をもってCEOを退任すると5月に発表して以降、株価は約12%下落している。

CFRAリサーチのアナリスト、キャシー・サイファート氏は「株主に送られたのは非常に強いメッセージのようだ」と指摘。「会社が株式を買い戻さないなら、投資家が買う理由はどこにあるだろう」と問いかけた。

また、利益は伸びているが今期は増収率が鈍く、投資家心理を明るくするものではないとも指摘。株価上昇の「材料を見いだすのは難しい」と述べた。

原題:Buffett’s Berkshire Hathaway Cash Pile Soars to $382 Billion (1)(抜粋)

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