(ブルームバーグ):国内の新規株式公開(IPO)市場は、テクセンドフォトマスクの大型上場が押し上げる形で10月の調達額が3月以来の高水準となる見込みだ。例年11月はIPOの発表が1年で最も多いため、さらなる活況が期待できる。
ブルームバーグがまとめた過去10年のデータによると、11月のIPO発表件数は平均で20件と月間ベースでは最多だ。企業の決算期と上場タイミングの兼ね合いが背景の一つで、さらに発表から上場までに約1カ月の時間を要するケースが多く、年内に上場するには11月がぎりぎりのタイミングという事情もある。
ブルームバーグのデータによると、2025年の国内IPO市場の調達額は8000億円を超え、6年ぶりの高水準に膨らんだ昨年に迫っている。
年内の注目はSBI新生銀行だ。事情に詳しい複数の関係者によると、IPOの詳細は11月にも発表される見通しで、時価総額は少なくとも1兆円を目指している。東京証券取引所の上場維持基準で最も低い流通株比率25%に基づき試算すると、国内のIPOで今年2番目に大きい案件となる。順調に進めば、年間のIPO総額を昨年以上に押し上げる可能性が高い。
IPO銘柄などに投資する運用会社fundnoteの川合直也最高投資責任者(CIO)は、SBI新生銀は予想されるIPO規模の大きさと銀行を取り巻く事業環境の良さから投資家の人気を集めそうだとの見方を示す。
日経平均株価が初の5万2000円台を付けるなど日本株市場の好調が続き、投資家のリスク志向の高まりでIPO市場も恩恵を受けている。資金吸収額が1000億円超と大型化したテクセンドは、16日の上場初日に公開価格の3000円に対し一時21%高と人気化。その後も堅調な値動きは、IPOを今後目指す企業にとってもプラス材料だ。
一方、IPOを巡るセクター間の格差が顕著になっている。スキンケア製品のファイントゥデイホールディングスやBJCは上場を取りやめた。IPO時に参考にされる同業他社の株価パフォーマンスの低調も響き、投資家需要が想定より集まらなかった。
fundnoteの川合氏は、ファイントゥデイやBJCのケースは「かなりトレンドを示している」と指摘。「外需や半導体関連銘柄以外への人気は低い。内需や中小型銘柄に人気がない状況が続いている」と言う。海外勢を機関投資家が参加しやすい案件には需要が集まる半面、それ以外には買いが入りにくいとも述べた。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.