経済対策の一方で…財政拡張がはらむリスクは?

ーー高市総理は物価高対策を最優先にするとのことですが、今回の経済対策はどれくらいの規模を想定していますか?

これから議論を進めていきますので全体の規模感というのはまだ想定されてないような気がしますが、最初にまず始めないといけないのはガソリン税の暫定税率の廃止。これは1兆円かかります。それから、軽油引取税で大体0.5あるいは0.6兆円、合わせて1.6兆円。これはまず最初にやりましょうと。それ以外にも物価対策としてどういうものを組み込んでいくかによってずいぶん予算規模が変わってきます。
もうデフレはほぼ完全に脱却しているので、あとはこの成長力をどこまで維持するかという意味では、少し大きめの補正予算を組んで欲しいなと。ただ、なかなか具体的にいくらだろうというのは難しいですね。

ーー財政拡張することで、トラスショックのようなことが起きる懸念はないんでしょうか?

トラスショックのことはよく伺います。
トラスショックが起こったときのマクロ経済環境は一体どうだったかと。そのときは、需要超過でした。潜在的供給能力以上の需要があって、だからこそ7、8%のインフレ率が起こってきた。

そのときにトラスさんは何をしようとしたかというと、減税計画を発表したんです。これはさかさまじゃないですか。そんなに需要が多いなら、ちょっと水をかける程度がちょうどいいんです。もっと減税するということはもっと需要を増やすということですから、それは通貨も国債も混乱します。だからトラスさんが失敗したのは、政策そのものがいいかどうかという問題ではなくて、マクロ環境とその政策がフィットしなかったからだと思います。

大体、財務省が我々に対して議論をしてくるときは、トラスショックかギリシャショックなんですよ。でも日本とは関係ありません。ギリシャショックは自国通貨がなかったからなんです。外国からお金を借りるしかなかった。日本は自国通貨ですから全然心配いらないですね。