(ブルームバーグ):第一生命保険は2025年度下期の国債投資で、低利回り債を売却して高利回り債を購入する入れ替えを中心として買い急がず、残高は横ばいとなる見通しだ。市村直人運用企画部長が28日の運用説明会で明らかにした。
市村氏は入れ替えの規模について、株式の売却益を利用するなどして前年度の「7000億円を超える水準になってくる」と述べた。現在の市場金利は負債コストを十分補える水準で「魅力的」としながらも「買い急ぐスタンスではない」と語った。超長期金利は需給面から急に低下するとは考えておらず、入札などを経て上昇局面もあり得るとしている。
生保各社は、低利回り時に買い入れた国債の多くが金利上昇により含み損になっている。保有債券の時価が取得価格の50%を下回って回復の見込みがない場合、評価差額を有価証券評価損として計上する減損処理が会計基準で定められている。
市村氏は「含み損の状況を踏まえて継続的な入れ替えを行っており、減損が発生する金利水準まで、まだ距離がある」と語った。その上で「計画的な入れ替えを通じて減損にヒットしない状況にしておくことが望ましい」との考えを示した。
生命保険会社の間では、減損処理を避けるため簿価の水準に回復するまで保有する「保有継続」措置を取る動きが中堅を中心に出ている。市村氏は保有継続について、低い利回りの債券を20年、30年という期間継続することをコミットする形になるため「慎重に考える必要がある」と話し、「満期保有を行うと長期にわたり投資行動の制約になる」とも指摘した。
日本銀行の利上げは12月以降、半年に1度のペースで再開し、政策金利到達点は1.5%程度を想定している。
【第一生命の25年度下期運用計画】
【金融環境見通し:26年3月末の見通しと想定レンジ】
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.