世界のトレーディング収入のうち、ジェーン・ストリートやシタデル・セキュリティーズといったノンバンクが占めるシェアが2029年末までに30%に達する勢いだ。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のリポートで明らかになった。ノンバンクのシェアは現在5分の1に拡大しており、銀行の縄張りに侵食している。

ノンバンク金融機関(NBFI)と呼ばれるこれら企業は、この20年間でトレーディングへの参入を急速に拡大した。BCGによれば、NBFIの市場シェアは2010年にはわずか1.6%だった。

「ノンバンクの流動性プロバイダーはこの数年間で、市場の周縁から主流へと進出してきた」とBCGのマネジングディレクター兼パートナー、ジュリアン・ハイン氏はインタビューで語った。「収入プール全体の伸びを脅かしてはいない」ものの、収入プールの構成に変化が起きていると指摘した。

ノンバンク企業はこれまで、テクノロジーや人材に対する大型投資の恩恵を享受し、大手銀行に代わる選択肢を提供してきた。一方の大手銀行は2008年の世界的な金融危機後、規制強化の影響で高リスク投資を制限されている。株式を公開していないジェーン・ストリートやシタデル・セキュリティーズ、ハドソン・リバー・トレーディングへの当局監督は比較的緩く、こうした企業は取引戦略の開示に消極的で、透明性の低さが指摘されている。

企業別トレーディング収入

ジェーン・ストリートは4-6月(第2四半期)に101億ドル(約1兆5400億円)純取引収入を上げ、自社最高を記録。ウォール街の大手銀行全てを上回った。貿易戦争によるボラティリティーが追い風となり、1-6月(上期)の取引収入は自社最高の173億ドルに達した。

NBFI企業ではプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やオルタナティブ資本プロバイダーなども急成長していると、BCGのリポートは指摘。世界のコーポレートバンキングおよび投資銀行事業が稼ぐ収入のうち、こうした企業のシェアは2010年にはわずか3%だったが、今では16%に拡大しており、今後5年内に22%に達する見通しだという。

「ノンバンクは新しい現象ではない」とハイン氏は指摘。「市場ではすでに多数のパートナーシップが存在するが、現在では多くの銀行がいかに効率的に提携するか選択肢を検討する段階に入っている」と述べた。

原題:Jane Street-Led Bank Rivals to Take 30% Trading Share, BCG Says(抜粋)

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