全米鉄鋼労働組合(USW)など複数の労働組合は、トランプ政権が先の米中合意に基づき、中国で建造された船舶や同国企業が所有・運航する船舶に課す入港料を停止する措置に強く反発した。

中国船舶からの入港料徴収は、米国の造船業がかつての隆盛を取り戻す重要な一歩になると労働界は期待していた。

労組側はグリア米通商代表部(USTR)代表に宛てた書簡で、今回の決定が米国の海事セクター復活を目指す取り組みに悪影響を及ぼし、中国の「略奪的行為」の継続を許すと指摘。トランプ政権の判断に「強い失望」を表明した。国際機械工労組や国際電機労組も書簡に署名した。

トランプ氏は「貿易休戦」合意で、中国が米国産農産物の輸入拡大、米国の国家安全保障を脅かすレアアース(希土類)輸出規制導入の1年間延期を約束したとアピールしていた。しかし労働界からの反発は、今回の取引が一部ブルーカラーに犠牲を強いることを示し、来年の中間選挙の激戦州でトランプ氏にとって逆風になる恐れが出てきた。

貿易相手国・地域の不公正な取引慣行に対し、制裁措置を講じる権限を定めた通商法301条について、労組側は「是正措置の1年間停止により、米政府は信頼感と長期計画が極めて重要な時期に不確実性をもたらしている。301条調査に基づく対抗措置の実施を停止すれば、中国にフリーパスを与え続けることになる」と批判した。

USWなどの書簡は7日、意見公募の締め切り(米東部時間午後5時=日本時間8日午前7時)前に提出された。USTRは9日、通商法301条に基づく中国の海事・物流・造船セクターを対象とする調査を米東部時間10日午前0時1分(日本時間同午後2時1分)から1年間停止すると発表した。

原題:Unions Slam Trump for Giving China a Pass on Shipbuilding、US Suspends Section 301 Maritime Probe Against China(抜粋)

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