(ブルームバーグ):アルゼンチンのカプト経済相はニューヨークで投資家らに対し、通貨ペソが変動幅内で推移する間にも外貨準備の積み増しを開始し、国債の買い戻しを実施する計画を示した。事情を直接知る複数の関係者が明らかにした。
カプト氏は7日、JPモルガン・チェースが主催した約40人の投資家との会合で、ペソを変動相場制に移行させる意図はミレイ大統領になく、今後も定められたバンド内で推移させると説明したと、関係者は話した。非公開の集まりだとして匿名を条件に語った。
ただ、関係者のうち2人によると、カプト経済相はインフレやペソ需要の動向次第では、バンドの調整ペースを現在の月1%から同1.5%へ引き上げることも検討する可能性があると述べた。現行制度では、ペソの取引レンジ上限と下限は月1%ずつ調節され、段階的なペソ安を容認している。
関係者の1人によれば、カプト氏は外貨準備の積み増しや債務買い戻しのスケジュールなどを含む包括的な計画を30日以内に公表すると見込んでいる。

JPモルガンの広報担当者とアルゼンチン経済省の報道担当に7日の通常業務時間外にコメントを求めたが、返答はなかった。
2週間前の議会中間選挙で与党が勝利して以降、多くの投資家はミレイ大統領が政策の枠組みを見直す時期に来ていると主張している。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)はペソの自由な変動を認めるようミレイ大統領に促した。
アルゼンチン当局はこれまで通貨制度を変更する考えを否定してきたが、カプト氏はペソが変動幅内で取引され、市場の流動性が高い場合には、当局がドルを買い入れられるよう規則を改める意向を示唆した。
関係者によると、カプト経済相はドル買いの開始時期を具体的に示さなかったものの、ペソ需要の拡大に伴い通貨は引き続き上昇すると見込んでいると述べた。
アルゼンチンは4月に国際通貨基金(IMF)から200億ドル(約3兆800億円)規模の融資を受けることで合意したが、中央銀行は計画通りに外貨準備を積み上げられず、選挙前の相場変動でペソ下支えのためドル売りを余儀なくされていた。
原題:Caputo Tells Bankers Argentina to Build Reserves, Buy Back Bonds(抜粋)
--取材協力:Patrick Gillespie.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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