(ブルームバーグ):15日の日本市場は株式が大幅反発。米国の堅調な企業決算や利下げ期待の高まりを受け、幅広い業種で押し目買いが広がった。円は対ドルで一時約1週間ぶりとなる150円台後半まで上昇。債券は超長期債が上昇(金利は低下)した。
米銀の予想を上回る決算発表が米経済への楽観を広げ、米中貿易摩擦の激化への警戒感を相殺した。国内でも銀行株が上昇し、テクノロジー株や輸出関連株に対する投資家心理も改善した。主要株価指数は午後に一段高となり、日経平均株価は一時900円超上げた。
市場関係者は国内政治の行方を注視している。立憲民主、日本維新の会、国民民主の3党は午後に党首会談を開き、来週にも予定されている首相指名選挙での野党候補一本化に向けた協議をスタートさせる。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、投資家は米企業決算で安心感を得ており、日本でも決算シーズン入りを控えて企業業績への期待が高まっていると指摘。国内政局の影響については、仮に野党の党首が次期首相に就任しても、消費を刺激する政策が打ち出される可能性があり、株式市場の長期的な見通しに大きな悪影響を与えることはないとの見方を示した。
株式
東京株式相場は大幅反発。電機や機械、自動車など輸出関連、銀行や保険など金融、商社などの上げが目立った。
フィリップ証の笹木氏は、米国でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言により追加利下げ期待が高まったことも、株価反発を後押ししていると述べた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、「高市氏が首相になる可能性が高いとの見方が少しずつ株価に織り込まれてきている」と指摘。今週に入り「高市トレード」が逆回転した分、「買い戻しが入っている」とみていた。
オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが15日発表した2025年7-9月期の受注額が市場予想を上回ったことを好感して、半導体関連銘柄が上昇。相場全体を押し上げる材料の一つとなった。
個別では、第2四半期(6-8月)営業利益が市場予想を上回った流通大手のイオン株が一時11%高と大幅に3営業日続伸し、上昇来高値を更新した。
為替
円相場は対ドルで上昇し、一時150円台後半を付けた。トランプ米大統領が中国との食用油貿易を停止する可能性を示唆するなど米中対立が先鋭化しており、ドル売りが優勢だった。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは「米中の状況が懸念されており、まだ消化しきれていない」と話した。
国内政治の行方次第では一段と円高が進むとの見方もある。三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のシニアバイスプレジデント、横田裕矢氏は、高市自民党総裁が主張する財政拡張と金融緩和維持の実現可能性が低下すれば、ドル・円相場の「150円割れが現実的になってくる」とみている。
債券
債券相場は超長期債が上昇。この日実施された20年国債入札結果が順調となり、買いが強まった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは入札について、「利回り水準が魅力的だったことに加え、20年債の増発はないとの見方も買い安心感につながった」と話した。
20年債入札結果によると、応札倍率は3.56倍と過去12カ月の平均(3.25倍)を上回った。最低落札価格は100円20銭と市場予想と一致。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)13銭と前回の10銭からやや拡大した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、入札を無難に通過して「20年債は安定しだしている」とし、投資家層が過去と比べ厚くなったことが主因だろうと指摘。利回り曲線は短い年限が上昇して長い年限が低下する「ツイストフラット(平たん化)を想定している」と話した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:堤健太郎.
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