(ブルームバーグ):丸紅が国内の電力トレーディングを強化するため、新会社を設立する。複数の関係者への取材でわかった。同社はこれまで電力価格の変動リスク対策のため先物を扱ってきたが、今後は地域間の価格差を利用した取引なども通じて収益拡大を目指す。
関係者によると、新会社には、それぞれ国内と海外で電力小売り事業を展開する丸紅新電力と子会社の英スマーテストエナジーが折半出資する。同社は既に先物をはじめとするトレード事業を行っており、取引におけるリスク管理のノウハウを新会社に提供するという。
電力価格は変動が大きく、価格の急変に対するリスクヘッジとして活用される電力先物は、取引量がここ数年で急増している。国内ではJERAや東北電力などが参加しているほか、最近ではエネルギー取引を国際的に展開するガンバー・グループも参入した。
異常気象や天候によって供給量が左右される再生可能エネルギーの登場、原子力発電所の再稼働をめぐる不確実性さなどを背景に、今後も電力トレーディングの需要は高まるとみられる。
丸紅は取材に対してコメントを控えた。
丸紅は2000年に産業向けの小売りに参入し、11年に丸紅新電力を設立。16年の小売り全面自由化後は一般家庭向けも含めて事業を拡大してきた。
自由化後に参入した企業は「新電力」と呼ばれ、大手電力会社から仕入れた電力を企業や家庭に販売することが一般的だ。時間帯によって顧客の電力需要は変化するため、調達した分との差で日々余剰や不足が生じる。
余った電力の売却や追加購入の際、新電力は市場価格の変動によって損をするリスクがある。関係者によれば、新会社はこうしたリスクを避けつつ電力の過不足を調整するサービスも提供する方針だ。
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