(ブルームバーグ):「On(オン)」ブランドのスニーカーを展開するスイスのオン・ホールディングは、新たな最高執行責任者(COO)にスコット・マグワイア氏を任命した。オンは靴製造ロボット「ライトスプレー」などの技術革新を拡大し、ナイキやアディダスからの市場シェア拡大を狙う。
マグワイア氏は、今年3月にオンの最高イノベーション責任者(CInO)として同社に入社。来年1月にCOOに就任し、COOとCInOを兼任するという。オンは30日、ブルームバーグに対し、今後は「技術革新と業務運営の統合を監督する」という二重の役割を担うと説明した。

同氏の任務には、ハイエンドなマラソン向けスニーカーの製造に活用されているライトスプレーロボットの拡大が含まれるとみられる。オンはこの技術を他の靴の生産にも応用することを検討しており、このプロジェクトはすでにマグワイア氏の管轄下にある。
サミュエル・ウェンガー現COOは、スタートアップ業界での新たな機会を追求するため退社する。ブルームバーグが入手した社内メモで判明した。
ウェンガー氏は2017年にオンに入社し、同社の急成長をけん引した。ベトナムに調達拠点を設立し、初の直営店を展開。2021年の新規株式公開(IPO)後は財務部門を統括した。
2010年にチューリヒで設立されたオンは、軽量で快適なランニングシューズで支持を獲得し、テニスやアウトドア、アパレルへと事業領域を拡大することで急成長を遂げた。2023年10月に発表した3カ年戦略の最終年度を迎えようとしており、純売上高の倍増と高い収益性の実現を目標としている。
今後も成長を維持するためは、特にアジアで新たな市場への拡大が必要だ。同社のスニーカーは業界でも高価格帯に属し、人気モデル「クラウドサーファー・マックス」は180ドル(約2万7000円)で販売されている。こうした価格戦略により、トランプ米大統領による関税政策やその他のマクロ経済的な不確実性による混乱下でも高い収益性を保っている。
それでも、オンの株価は年初来で20%下落しており、下落率はアディダスより小さいものの、最近の低迷から回復しつつあるナイキより大きい。
原題:Swiss Shoemaker On Names New COO to Help Challenge Bigger Rivals
(抜粋)
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