(ブルームバーグ):米ソフトウエア大手アドビは30日、動画編集ソフト「プレミア」を初めてiPhone向けに提供すると発表した。台頭するモバイル対応の競合アプリに対抗する狙いがある。
プレミアは従来、クリエーターや映像制作のプロに広く使われるデスクトップ用ソフトとして定着してきた。アップルの「ファイナル・カット・プロ」やブラックマジック・デザインの「ダビンチ・リゾルブ」と並ぶ代表的なツールだ。
だが、これまで本格的なモバイル版はなかった。今回のiPhone版の提供は、アドビが新たな競争環境に対応しようとする動きを示す。足元ではバイトダンス傘下の「キャップカット」やメタ・プラットフォームズ傘下インスタグラムの「エディッツ」といった編集アプリが急成長しており、アドビはユーザー離れを防ぎたい考えだ。キャップカットやエディッツは初心者にも扱いやすいインターフェースを備え、ソーシャルメディア向け動画を素早く制作できるよう設計されている。
iPhone版プレミアも同様に、一般的な編集機能は無料で利用でき、サブスクリプション(定期課金)サービスの購入は不要。ただ、生成人工知能(AI)によるコンテンツ制作は有料となる。搭載されるAI機能は動画や画像、ステッカー、効果音の生成のほか、音声強調、背景除去、自動字幕といった「支援的な」AIツールも含まれる。アドビは、顧客のコンテンツを自社の生成AIモデルの学習には利用しないと説明している。
アドビはAndroid端末向けにもプレミアの提供を準備中だと説明。Androidユーザーは、近日公開予定のベータ版に参加するための登録が可能としている。アドビは今年、画像編集ソフト「フォトショップ」でもiPhone版を優先する戦略を採用。同アプリはiPhone向けにリリースされ、同時にAndroid向けベータ版も提供された。
原題:Adobe Brings Its Powerful Premiere Video-Editing App to iPhone(抜粋)
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