不法移民125人がボート１隻でフランスから英国に越境－過去最多更新

（ブルームバーグ）：英国で週末、1隻の船に乗り込んだ移民としては過去最多の125人が英仏海峡を渡って越境した。スターマー首相は密航組織の「壊滅」を約束しているが、事態の悪化に歯止めがかかっていない。

フランスからの27日のボート到着は英内務省が認めた。これまでの最多は８月の107人。ブルームバーグは数週間前、移民を乗せた船が約3年ぶりに当局の目をかいくぐって上陸したと報じている。

マフムード内相は声明で「小型ボートによるこのような越境はまったく容認できない。背後にいる卑劣な密航業者が国境を荒らしている」と述べた。さらに「英国の国境を守ることは内相としての優先事項だ。移民制度に秩序を取り戻すため、あらゆる選択肢を検討する」としている。

スターマー氏は移民の送還などについて仏側と最近合意したが、越境者数は今年これまでに記録的な水準に達している。27日は合わせて895人が12隻のいわゆる「小型ボート」で英仏海峡を渡ってきた。

仏当局はAFP通信に、英への上陸を試みていた女性2人が仏北部の沖合で同日死亡したと明かした。また、一組の夫婦とその子どもが中程度の低体温症で病院に搬送されたという。

与党の労働党はナイジェル・ファラージ氏率いる右派ポピュリスト政党「リフォームUK」に押され、移民への厳しい姿勢を迫られている。保守党の前政権下で合法的な移民が大幅に増えたうえ、労働党政権が小型ボートによる越境の抑制に失敗し、移民は英政治の最重要課題となった。世論調査では経済問題より優先される状況になっている。

こうした中、スターマー氏は28日、BBCのインタビューでファラージ氏への批判を強め、その移民政策を人種差別的で不道徳だと表現した。トランプ米大統領は対応を巡り、自身が米国で実行した軍の投入をスターマー氏に提案した。

英内務省は仏領海内で小型ボートを拿捕（だほ）して送還することを検討している。この計画には仏政府の承認が必要となる。

原題：UK Sees Biggest-Ever Migrant Arrival as Boats Get Bigger（抜粋）

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