コロンビアのペトロ大統領は26日、ニューヨーク市内の街頭でメガホンを手にトランプ大統領に従うなと米国の兵士らに訴えた。そうした行動が波紋を呼ぶことは、あらかじめ想定していたはずだ。

国連総会に合わせニューヨークを訪れていたペトロ氏は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に抗議するデモに姿を見せ、米国の兵士らに人々に銃を向けないよう求め、「トランプの命令には従うな」と促した。

ガザでの攻撃に米軍が直接関与した事実はなく、ペトロ氏がどの命令に言及したかは不明だ。それでも米国務省は即座に反応し、「無謀かつ扇動的な行為」を理由にペトロ氏のビザを取り消した。

ペトロ氏は、それが狙いだったのかもしれない。同氏はトランプ政権の強硬政策を逆手に取り、米国という巨人に立ち向かう左派のダビデのイメージを演出してきた。

一方、トランプ政権は中南米諸国のうち、アルゼンチンやエクアドルといったイデオロギー的に近い国を重視する姿勢を強め、移民政策から麻薬対策、制裁、ベネズエラ沖での攻撃に至るまで、勝者と敗者を選別する外交を展開しているように思われる。

反トランプを声高に表明するペトロ氏の姿勢は、ブラジルのルラ大統領やチリのボリッチ大統領とも共通するが、主要輸出先である中国との関係を含め多元的な国際関係の維持を目指す彼らのトーンはより抑制的だ。

トランプ政権1期目にポンペオ国務長官(当時)の部下だった米国陸軍戦略大学のエバン・エリス教授(中南米)は「中南米の指導者らは個人のスタイルや経済的利害、イデオロギー的立場を反映し、トランプ氏に対しさまざまな反応を見せている」と指摘。ペトロ氏の場合、今回の騒動は「戦略的に一貫性を欠き、コロンビアに不利に働く」と評価した。

原題:Colombian Leader’s Call to Defy Trump Amplifies Rifts in Region(抜粋)

--取材協力:Eric Martin.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.