新興国市場は今年、活況を呈しており、金融業界でも有数の企業を引き付けている。プライベートクレジットの貸し手だ。

ブラックストーンやアポロ・グローバル・マネジメントといった大手の資金提供により、新興国市場におけるプライベートレンダーの取引は過去最大の年となる勢いだ。グローバル・プライベートキャピタル協会(GPCA)によると、2025年前半には117億ドル(約1兆7500億円)が投じられ、既に24年通年の水準に迫っている。

今年は湾岸地域の力強い成長に加え、インドや東南アジア、東欧で過去最大規模のプライベート取引が行われている。投資家が米国資産の代替先を探す中、KKRやアレス・マネジメントといった大手は、新興国への関心が再び高まっている状況に注目している。

GPCAの調査担当マネジングディレクター、ジェフ・シュラピンスキー氏は「より大規模な資金を投じるグローバルプレーヤーが増えている」と指摘。「過去10年にプライベートクレジットが急速に拡大した米国と比較すれば、新興国はまだ初期段階にあるが、全体として成長しているのは確かだ」と述べた。

一部のプライベートクレジットの貸し手は、今年に入るまで欧州と北米以外にはあまり進出してこなかった。新興国はリスクが極めて大きく、習熟には制度面での非常に高い専門知識が必要と見なされていたためだ。だが記録的な規模の取引がそうした見方を変え始めており、アナリストらは今後さらなる拡大を見込んでいる。

機関投資家調査によると、新興国は世界の国内総生産(GDP)の半分を占めるが、1兆7000億ドル規模のプライベートクレジット市場では10%未満にとどまっている。プライベート資金の流入が増えれば、新興国における企業拡大やインフラ整備を後押しする代替的な資金源となり得る。

プライベートクレジット投資家は、新興国への進出によりポートフォリオを分散できるほか、リターンも向上する可能性がある。新興国の株価は今年に入り23%上昇。ハードカレンシー債券のリターンは約9%だ。

ジェムコープ・キャピタルのパートナー、プラナブ・カマー氏は「新興国市場の強固なファンダメンタルズに投資家はようやく注目し始めている。プライベートクレジットの配分を分散させる手段として、新興国を活用しようをする動きが見られる」と述べた。

原題:Private Credit Is On Course for Biggest Year in Emerging Markets(抜粋)

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