ガソリン暫定税率廃止では全員一致
そうした中で5人の候補が前面に押し出すのが物価高対策です。中でもガソリン税の暫定税率廃止は、5人全員が掲げています。ガソリン暫定税率をめぐっては、すでに廃止を目指した与野党協議が行われている段階だけに、どの候補も今や賛同しやすいのでしょう。
ただ、問題は「どのようにして」廃止するかです。現実に与野党協議では、代替財源をどう確保するかを巡って一致点を見出せておらず、「代替財源がなければ廃止できない」という「自民党税調の壁」を突き崩すには至っていません。
その意味では、総裁選の候補者に求められているのは、単に暫定税率廃止を言うだけではなく、廃止に向けた具体的道筋を示すことなのですが、議論はそこには至っていません。話が前進しているとは、なかなか言えません。
「壁」引き上げ等、所得税減税に傾斜へ
では、参院選で示された「現金給付より減税を」という民意には、どう応えるのか。総裁選で消費税減税に積極姿勢を示す候補者はおらず、なかんずく、代わりに所得税減税に傾斜する傾向がはっきり出ています。
とりわけ、国民民主党が主張する、いわゆる「年収の壁」の引き上げについては、小泉氏が討論会で「所得税の基礎控除などを物価や賃金の上昇に合わせて引き上げる」と述べた他、高市氏も「引き上げには賛成だ」と明言しました。茂木前幹事長も前向きな姿勢です。
3人の候補が前向きなら「年収の壁」の更なる引き上げも実現可能性が高まろうというものですが、こちらも所得層ごとの引き上げ額や減収分の財源など、具体的な点を詰めなければ前には進まない話です。総裁選でそうした議論まで期待するのは、少し酷かもしれません。
このほか、小林元経済安保担当大臣は、抜本的な所得税制の改革を提起し、それまでの間、低中所得者に限った所得税の定率減税を主張しました。所得減税を中心に据える構えです。その小林氏と茂木氏は、スピード感を重視して、地方交付金による物価高対策を訴えました。