(ブルームバーグ):カーケア用品のソフト99コーポレーションを巡る買収合戦が大詰めを迎えている。創業家の田中秀明社長が主導する経営陣による買収(MBO)案で提示された買い付け価格が安過ぎるとして、少数株主の投資ファンドが対抗の株式公開買い付け(TOB)を提案。どちらも13日を応募期限としている。
田中氏らは8月に1株当たり2465円でMBOを実施。これに対してエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが同価格を66%上回る4100円で9月から対抗TOBを始めた。その後、田中氏らはMBO価格を2680円に引き上げたものの価格差は大きい。
国内ではMBOなどによる買収案件が増える一方、株式の買い付け価格が低過ぎ、少数株主の利益に配慮していないなどとして、対抗TOBによる買収合戦に発展するケースも目立ち始めている。
ソフト99の創業家側は9月時点の応募状況からMBOは成立見込みだと公表していたが、事態は流動化している。約12%の株式を保有する第2位株主のKeePer技研は、会社側の賛同を条件にMBOに応募することで合意していたが10月24日、「価格差が大き過ぎた」としてエフィッシモ側に応募先を変更すると発表。ソフト99によると、同月30日時点では創業家側への応募はMBO成立の下限に達していなかった。
KeePer技研株の応募先変更について、同社株の5%超を保有するみさき投資の吉原正淑エンゲージメント投資ディレクターは「価格差を埋める合理的な理由が見当たらない中で、企業価値の向上及び株主共同の利益最大化の観点から、最も合理的な選択を行ったもの」と理解を示した。
10月29日には香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントによるソフト99株保有も判明した。保有比率は明らかになっていないが、エフィッシモの主張に賛同しており、エフィッシモのTOBに応募する可能性がある。
現状で計約32%の株式を保有している創業家側のMBO案はTOB成立の下限として、追加で発行済み株式数の約35%の取得を目指しており、エフィッシモは約3分の1の株式取得を下限としている。
エフィッシモ提案の妥当性を審査したソフト99の第三者委員会は、「企業価値向上に資さず、公正とも認められない」として対抗TOBに反対を表明済み。会社側はMBOへの賛成は維持したまま、大幅な価格差を考慮して応募推奨を取り下げ、株主の判断に委ねている。
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