参議院選挙で民意が示されてから、すでに2か月以上が経ちました。「石破おろし」に時間がかかった上に、自民党総裁選挙のフルスペック実施で、この間、政治空白が続いています。その総裁選でも候補者たちは、党内の支持固めのため「安全運転」優先で、論戦は低調に見えます。
参院選で示された「物価高対策」の民意

物価高対策など経済政策を最大の争点とした参議院選挙が行われたのは、7月20日のことでした。自民、公明の与党両党合わせても過半数を割り込むという結果で、民意は明確に示されたのです。有権者は何よりも物価高対策を求め、「現金給付より減税」を望むという意思を示したと言えるでしょう。
しかし、その後、新たな物価高対策が立案・実行されることはありませんでした。夏休みに加え、「政局の季節」になってしまったからです。国会も実質的には開かれないままです。
総裁選で「尖った主張」は封印
こうした中で自民党の総裁選挙が始まり、物価高対策を前に進める具体的な議論が期待されましたが、これまでのところ、論戦は踏み込み不足になっています。
総裁選挙の性質上、各候補とも、まずは自民党内の最大公約数を取り込むことが課題になるからで、敵を作るような「尖った主張」は封印することになりました。「有力」とされる候補ほど、その傾向が強く出ているように思います。
また、総裁就任後には、野党と連立や協力を求める交渉をしなければならないことも、発言の自由度を制約しているように思います。