(ブルームバーグ):22日の日本市場では株式が反発。日経平均株価の上げ幅は一時700円を超え、終値で2営業日ぶりに最高値を更新した。先週末の米国株市場で新型スマートフォン「iPhone 17」の需要堅調なアップルや、大型クラウド契約の協議を進めているオラクルなど大型テクノロジー株が上昇したことが好感された。国内政策期待も続いた。
円は対ドルで一時148円台前半に小幅下落。債券は日本銀行の早期利上げ観測を背景に中期債中心に売られ、2年と5年、10年債利回りは2008年以来の高水準を更新した。
国内では自民党総裁選が告示され、高市早苗前経済安全保障担当相や小泉進次郎農相ら5人が立候補した。23日には共同記者会見や討論会に臨む。
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「グローバル投資環境が良好なだけに、日本株は先週金曜に日銀の上場投資信託(ETF)売却計画で下げた分を取り戻しそう」と話していた。自民党総裁選については「高市氏なら積極財政、小泉氏なら若返りという点で株式市場は好感しやすい」との見方を示した。
株式
東京株式相場は、電機や精密機器といった輸出関連、非鉄金属、商社など海外景気敏感業種に買いが先行。日銀の根強い利上げ観測から銀行株も堅調だった。
ソニーグループがTOPIX上昇に最も貢献。太陽誘電や村田製作所など米アップルに製品を供給する電子部品株は軒並み上昇した。アップルがiPhone 17の需要好調を受けて生産委託先に一部モデルの増産を指示したとの報道を好感した。
東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、まだ空売り勢が相当数存在し、彼らが買い戻しを余儀なくされていることで需給面で拍車がかかっていると指摘。CTA(商品取引顧問)は依然、着実に買いを入れているようで、この上昇相場が止まる気配はないと話した。
三井物産は22日、米保険・投資会社のバークシャー・ハサウェイから、株式を追加取得した結果、議決権比率が10%以上になったとの連絡を21日に受けたと発表。株価は一時前日比2.2%高の3805円と約1年2カ月ぶりの日中高値を付けた。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=148円台前半に下落した。日米の金融政策イベントを通過し、円売り・ドル買いが先行。日本株の上昇もリスク選好の円売りにつながった。半面、国内政治の不透明感から大きな方向感は出にくく、午後には米長期金利の低下もあり、下げ渋った。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、19日の日銀会合を受けて市場では年内利上げ観測が高まったものの、10月利上げを織り込むほどの雰囲気には至っていないと指摘。一方、米国では年内追加利下げは2回との見方が固まっておらず、ややドルが買い戻される展開になったと述べた。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、自民党総裁選を巡り高市氏の発言次第では円相場が上下すると予想する。日銀の利上げに否定的な姿勢を示せば円安の材料となる一方、中央銀行の独立性を尊重するような発言トーンであれば、円高方向に振れる可能性があると指摘。「ただトータルで見ると、方向感が出にくい状況になるだろう」と話した。
債券
債券相場は下落。日銀による早期利上げ観測の高まりを背景に売りが優勢となった。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、日銀決定会合で2人の審議委員が据え置きに反対票を投じたことで10月利上げ期待が高まっており、中期債を中心に売られていると指摘。「植田和男総裁の会見はそこまで10月利上げに傾いている印象ではなかったが、市場で10月は無理だとの見方が修正されており、買いを入れにくくなっている」と述べた。
日銀会合後スワップ市場では10月の利上げ確率が会合前の3割から5割に上昇した。
新発国債利回り(午後3時時点)
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