(ブルームバーグ):国連総会の一般討論演説が23日から始まる。これに合わせ各国・地域の首脳ら150人余りがニューヨーク市マンハッタンのミッドタウンに集結する。1週間にわたって行われる同演説は米大統領就任式と同格の「国家特別安全保障イベント(NSSE)」に指定されており、米政府総動員での対応が見込まれている。
今年は特に緊張感が高まっている。保守系活動家チャーリー・カーク氏の殺害事件を受け、政治的暴力のリスクが浮き彫りになったためだ。演説では、ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦闘が主要テーマとなる見通しで、警戒感が一段と増している。
米大統領警護隊(シークレットサービス)のニューヨーク支局責任者、マット・マクール特別捜査官は「これはわれわれにとって年間で最大の警備イベントだ」と強調する。
同氏によれば、総会の警備計画は年間を通じて進められるが、直前の4カ月間に最も集中的な作業が行われるという。
ニューヨーク市警(NYPD)では数千人規模の警察官が国連総会の警備にあたるほか、連邦航空保安官や沿岸警備隊の巡視船、対狙撃チームも動員される。シークレットサービスが職員のために確保する宿泊施設は延べ3万人泊に上る。国連本部ビル周辺の道路は1週間にわたり厳重に警備され、通常の風景が一変する。
国連本部ビルは第2次世界大戦後に構想され、1950年代初めに完成した。ガラス張りの壁や開放的な広場は、透明性と平和を体現する設計だったが、毎年9月に国連総会が開催されるごとに、屋上への狙撃手配置や検問などでの放射線探知機の使用など、技術と人員による警備が幾重にも重ねられていった。
国連の安全保安当局責任者、ミック・ブラウン氏は、国連総会の規模拡大に伴い複雑さは増す一方だと説明。本部ビル内では、同局の職員らが検問所やエレベーター、廊下を通る要人の流れを管理するが、同ビルは「別の時代に設計された」ため、厳重な警備下での数千人規模への対応が可能なデザインになっておらず、「われわれは常に調整を求められている」と語った。




原題:Snipers, Secret Service, Gridlock Mean It’s NYC’s Annual UN Week(抜粋)
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