(ブルームバーグ):北米の空港で利用者の満足度が高まっている。旅客数の急増や相次ぐシステム障害にもかかわらず、飲食・小売店の充実や移動のスムーズさ向上が寄与した。
調査会社JDパワーが17日発表したリポートによれば、北米で最も利用客の多い空港のグループでは、2025年の旅客満足度スコア(1000点満点)が前年から10ポイント上昇した。規模の小さい空港でも同様の改善が見られた。
メガ空港(年間利用者数3300万人以上)部門では、ミネアポリス・セントポール国際空港(MSP)が660点と、2年連続で首位を維持した。
大型空港(同1000万-3290万人)ではジョン・ウェイン空港(SNA、カリフォルニア州オレンジ郡)が1位で730点。中規模空港(同450万-990万人)ではインディアナポリス国際空港(IND)がトップとなり、713点を獲得した。
今回のリポートは、米国またはカナダに住む3万439人を対象に24年7月-25年7月に実施した調査に基づいている。回答者は過去30日以内に少なくとも1つの米国もしくはカナダの空港を利用していることが条件で、出発または到着の体験が含まれ、乗り継ぎも対象となった。
JDパワーの旅行・ホスピタリティー・小売業担当マネジングディレクター、マイケル・テイラー氏によると、鍵はシームレスな移動だ。具体的には、空港からの自家用車やライドシェア、公共交通機関での利便性、米運輸保安局(TSA)での検査時間の短さ、柔軟な対応をするスタッフ、清潔な施設などが重要とみられる。
大規模な工事を終え、道路アクセスを改善した空港では満足度の上昇が特に顕著だという。テイラー氏は「多くの資本改善プロジェクトが現在進行中か、間もなく着工する」と説明している。
同氏によれば、飲食・小売店の満足度への寄与は12%にとどまるが、良い空港と最高の空港を分ける決定要因になっている。特に「地元らしさを感じさせる要素」があり、「自宅エリアから離れていると実感できる」空港が評価されやすいという。
「基本的な要素をきちんと満たし、さらに飲食・小売店が優れていれば、JDパワーの調査で勝者となるチャンスが得られる」とテイラー氏は指摘している。
多くの旅行者は目的地によって利用空港が固定されるが、同一都市圏で複数の選択肢がある場合にはランキングが参考になる。特に今年はニューアーク・リバティー国際空港など巨大なハブ空港で深刻な混乱が相次ぎ、航空管制官不足などが問題となった。
先行きに影を落とすのは、トランプ政権が最近撤回した規制案だ。これは航空会社に対し、遅延や欠航の際に乗客への補償金支払いを義務付ける内容だった。
航空機利用者の権利擁護団体エアヘルプによると、こうした規制は欧州連合(EU)で導入済みで、旅客満足度をさらに高める効果が確認されている。
フライトが定刻通りに運航することが旅行者にとって最大の満足要因であり、補償制度は航空会社や空港の説明責任を高める効果があるとされている。
テイラー氏によれば、2000年から続いているJDパワーの番付では遅延は明確な評価要因となっていない。「基本的に空港を直近利用した際の体験を聞いているのであって、必ずしも航空会社や空港のブランド評価ではない」という。
メガ空港(年間利用者3300万人以上)
1. ミネアポリス・セントポール国際空港(MSP)
2. デトロイト・メトロポリタン・ウェイン郡空港(DTW)
3. フェニックス・スカイハーバー国際空港(PHX)
4. ダラス・フォートワース国際空港(DFW)
5. ハリー・リード国際空港(LAS)
大型空港(同1000万-3290万人)
1. ジョン・ウェイン空港(SNA)
2. タンパ国際空港(TPA)
3. ダラス・ラブフィールド空港(DAL)
4. カンザスシティー国際空港(MCI)
5. ローリー・ダーラム国際空港(RDU)
中規模空港(同450万-990万人)
1. インディアナポリス国際空港(IND)
2. オンタリオ国際空港(ONT)
3. バッファロー・ナイアガラ国際空港(BUF)
4. ジャクソンビル国際空港(JAX)
5. パームビーチ国際空港(PBI)
原題:The Best North American Airports, According to J.D. Power Report(抜粋)
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