新発2年国債利回りが約17年ぶりの高水準を付けた。米国市場で新規失業保険申請件数が約4年ぶりの大幅減となったことを受けて長期金利が上昇、日本国債もその流れを引き継ぎ売られている。

金融政策の先行き観測に敏感な新発2年債利回りは19日、前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.885%に上昇し、2008年以来の高水準を付けた。米週間雇用統計が今年中の追加利下げ見通しに疑問を投げかけたことを受け、米国でも利回りが上昇した。

9月は新発30年債利回りが過去最高を更新し、新発20年債利回りも1999年以来の高水準になった。10年債利回りも17年ぶりの高水準を更新しており、金利上昇は短い年限に波及してきた。

世界の40超の市場動向を通貨変動を除いて追跡するブルームバーグのデータによれば、日本国債は年初来で4%下落し、主要国の国債の中で最も低調なパフォーマンスとなっている。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、前日の米長期金利上昇に加え、「利上げに慎重な発言が予想されている植田和男総裁の会見前に、逆張り的にタカ派化に賭けた売りも出ているのかもしれない」と語る。朝方発表された消費者物価指数(CPI)は予想通りの内容で「取引材料にはなっていない」と言う。

高市氏

日本銀行がこの日開いている金融政策決定会合は政策据え置きが予想されている。金融市場では、高市早苗前経済安全保障相が午後2時半から行う自民党総裁選出馬の会見と、植田総裁が午後3時半から行う会見に注目が集まっている。

19日付の日本経済新聞によると、高市氏は所得税などの減税と現金給付を組み合わせて中低所得者を支援する「給付付き税額控除」の制度設計に着手すると明記する。

みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、高市氏が「何を言わないか」も重要で、過去に言及していた食料品の消費税廃止、金融緩和継続および円安政策が優先政策として掲げられない場合は「債券売り・円売り圧力後退につながる可能性があろう」と指摘した。

(世界と比較した日本国債のパフォーマンスを追加)

--取材協力:近藤雅岐.

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