米連邦通信委員会(FCC)のカー委員長がウォルト・ディズニー傘下のABCネットワークに圧力をかけ、司会者ジミー・キンメル氏の深夜番組を無制限に放送打ち切りに追い込んだのは「腐敗した権力乱用」だとして、民主党指導部はカー委員長の辞任を求めている。

保守派活動家チャーリー・カーク氏の殺害事件を受けて、トランプ政権が左派を標的にする方針を示す中、民主党は対決姿勢を鮮明にした。

政治論争に加わることやトランプ政権についてコメントすることを控えてきたオバマ元大統領も、ソーシャルメディアに声明を投稿し、この問題に言及。

「キャンセルカルチャーについて何年にもわたって不満を表明してきた現政権が、新たな危険な段階に踏み込んだ。メディア企業に対して、気に入らない記者やコメンテーターを黙らせたり解雇したりしなければ規制措置を取ると常態的に脅している」とオバマ氏は批判した。

カー氏がキンメル氏やABC、ディズニーに対する措置を講じると警告した後、ABCは今回の決定を下した。FCCはABCなどの放送局に免許を付与している。

カー氏がこうした動きに出た背景には、キンメル氏が自身の番組「ジミー・キンメル・ライブ」でカーク氏殺害について発言し、保守派の反発を招いたことがある。

ディズニーの人気番組停止について発言するトランプ米大統領

ジェフリーズ院内総務を含む下院民主党指導部は「ドナルド・トランプと共和党による憲法修正第1条(表現の自由)への攻撃は、米国の価値観と明らかに矛盾している」と18日の声明で指摘。

カー委員長について「ジミー・キンメル氏の雇用主であるABCを脅し、同社をトランプ政権に屈服させることで、自らの職責を汚した」と非難した。

カー氏は「放送局が意図した通りに視聴者に応えている」ことをうれしく思うと、X(旧ツイッター)に投稿。また経済専門局CNBCとの18日のインタビューでは、キンメル氏の番組での発言について「重要な事実について米国民を直接的に誤った方向に導いているように見えた」と話した。

原題:Kimmel Suspension Under FCC Pressure Stokes US Political Divide(抜粋)

--取材協力:Steven T. Dennis、John Harney.

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