(ブルームバーグ):パナソニックホールディングスは、2026年度に全固体電池のサンプル出荷を開始する方針だ。リチウムイオン電池を上回るエネルギー効率や安全性が期待される次世代電池の需要動向を見極め、量産につなげたい考えだ。
この計画は、パナソニックエナジーの渡辺庄一郎最高技術責任者(CTO)が幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中の二次電池展で明らかにした。まずは全固体電池の特長を生かした高耐熱性が求められる環境を狙い、工業用ロボットやタイヤの空気圧監視システムなどへの応用を想定する。
その後、ブルームバーグのインタビューに応じた渡辺氏は、「まずは全固体電池でしかできない領域をちゃんと成立させ、マーケットを開拓」することが必要だと述べ、顧客の信頼性評価に2年程度かかるとの見通しを示した。
同社の主力製品はリチウムイオン電池だが、エネルギー密度や安全性に優れた全固体電池も開発を続けている。小型の電池市場ではTDKがすでに製品を販売しているが、車載電池で培った知見を武器にシェア拡大を狙う考えだ。
全固体電池は液体電解質を使わないため、発火や液漏れリスクを低減でき、耐熱性の向上や長寿命化も可能になるとされる。トヨタ自動車と出光興産は27-28年の電気自動車(EV)搭載を計画し、日産自動車やホンダも独自開発を進めており、次世代電池を巡る競争は加速している。
渡辺氏は、車載向け全固体電池の量産化は技術的に可能だとしたが、「あれだけ価格トレンドの厳しい世界の中で、性能が変わらなくて高い電池はオポチュニティー(機会)がない」と述べ、実現性に慎重な見方を示した。
新型リチウムイオン電池の「4680」については、量産準備はほぼできており、顧客の最終承認を待っている段階から変化はないとした。パナソニックは米テスラから4680の開発を要請されているが、上期の世界販売台数が大幅減になるなどテスラの苦戦が伝えられている。
(渡辺氏のコメントを追加しました)
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