(ブルームバーグ):18日の日本市場では日経平均株価が反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過して投資家が動きやすくなり、人工知能(AI)関連を中心に買われている。円は対ドルで146円台後半で小動き。債券は先物が下落している。
FOMCは16、17両日に開いた定例会合で、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定した。引き下げの理由として、労働市場に軟化の兆しが強まっていることを挙げた。また、四半期経済予測では年内に0.25ポイントの利下げをさらに2回行うと見込んでいることが示された。2026年と27年に1回ずつ、0.25ポイントの利下げを予想した。
今年に入り5会合連続で政策金利を据え置いてきたFOMCが、今回は利下げを再開することはスワップ市場でほぼ100%織り込まれていた。このため各市場の反応は比較的冷静だ。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、FOMCを通過したことに加え、日本銀行の金融政策決定会合は波乱がなさそうで、日本株市場では投資家がややリスクを取りやすくなると指摘。利下げで米景気が支えられることは、来期10%前後の増益が見込まれている日本企業の業績にとって追い風になるとの見方を示した。
株式
株式は日経平均が反発。東京エレクトロンやアドバンテスト、ディスコなどのAI関連のほか、医薬品や食料品といったディフェンシブ株、銀行も買われている。
半面、 精密機器や電気・ガスは売られている。アナリストが投資判断を引き下げた任天堂が安く、TOPIXは小幅安に転じる場面もある。
野村証の伊藤氏は、米国ではFOMCを受けた金利上昇や個別のニュースでハイテク株を中心に下げた一方、景気懸念が和らぎ消費関連などは買われ、S&P500種株価指数の下げも小幅なことを挙げた上で、米金融政策を巡り大騒ぎする必要はないという市場のメッセージだと話した。
為替
円相場は1ドル=146円台後半で推移。FOMC後に約2カ月ぶりの水準に上昇した後、ドルが買い戻された流れが続いている。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役は、FOMCが年内あと2回の利下げを見込んでいたためドルは発表直後に売られたが、「来年は1回しか想定してないことや、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見がややタカ派に受け取られたこともあり、ドルは買い戻された」と語る。
東京市場でもその流れで147円台まで上昇する可能性があるものの、「先々の利下げが意識されてドルに対する悲観的な見方も根強く、上値は重い」と述べた。日銀の植田和男総裁が明日の会見で10月利上げに前向きな発言をすれば円高圧力となる一方で、早期の利上げは見込めないと受け止められれば円が売られる可能性があるとみる。
債券
債券は先物が下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米国の長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行した。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、FOMCは市場が織り込んでいたように年内あと2回の利下げを予想したと指摘し、債券相場の上値は重くなると話していた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.