米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの突然の破綻を受け、全米の債権者は残る資産に対する権利を争い、損失を懸命に食い止めようとしている。

ダラスでは、米地銀トライアンフ・ファイナンシャルが、中古車の屋外駐車場にチームを派遣し、融資の担保になりそうな自動車を安全な場所に移す構えだ。

マンハッタンのミッドタウンでは、トライカラーの資産担保証券(ABS)ポジションを保有するブティック投資会社クリア・ヘイブン・キャピタル・マネジメントが、他の債券保有者に一致団結を呼び掛けた。権利を主張する資産を大手行から守るのが狙いだ。

トライカラーの特約店(ヒューストン、9月11日)

JPモルガン・チェースやフィフス・サード・バンコープを含む大手行も損失規模を確定させるため、自行の担保の精査を開始した。

米連邦破産法に基づく清算手続きの申請から1週間が経過したにもかかわらず、破綻の詳細の多くがなおはっきりしない。連邦当局が捜査する不正の有無やその広がりも注目される。

複数の貸し手に担保が二重に差し入れられていなかったか、銀行は検証を進めている。フィフス・サードは先週、貸付残高や信用スコア、車種など重要情報を記録したマスター・ローン・テープの内容が誤っていたとの見方を明らかにした。

法律事務所ハントン・アンドリュース・カースのJ・R・スミス弁護士は「清算手続きがそれを決着させ、誰かが損をする」と指摘した。

フィフス・サードは9日の米証券取引委員会(SEC)への提出書類で、最大2億ドル(約294億円)の減損損失を計上する見通しを明らかにした。JPモルガンやバークレイも同様のリスクにさらされている。

原題:Tricolor Creditors Race to Seize Collateral, Fearing Deep Losses(抜粋)

--取材協力:Reshmi Basu、Irene Garcia Perez、Andrew Harrer.

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