「つながり」を売るエコシステム戦略
シャオミは、もともと中国最大級のスマートフォンメーカーであり、電機メーカーです。
同社のスマートフォンは、革新的で独創的なデザインを持ちながら、サムスンやアップルといった世界のトップ企業よりもはるかに安価な価格設定で市場を席巻しました。
もちろん、ハードウェアの品質だけを見ればiPhoneに及ばない部分はあるかもしれません。
しかし、消費者がシャオミに強く惹かれる理由は、その独自OSがもたらすユーザー体験と、それを核とした広大な製品エコシステムにあります。
シャオミが巧みに捉えたのは、現代の消費者が求める「つながり」のニーズです。
スマートフォンを中心に、歯ブラシ、スクーター、ペット用自動給餌器、腕時計、そしてマットレスまで、実に多種多様な製品を販売しました。
テック企業がマットレスを売ると聞けば誰もが驚きますが、シャオミの目標は、生活のあらゆる場面に自社製品をシームレスに溶け込ませ、ユーザーを自社のエコシステムに深く取り込むことでした。
その壮大なエコシステムにおいて、最後に残された大きな空白。それが「自動車」だったのです。
