(ブルームバーグ):電気自動車(EV)メーカー、米テスラのロビン・デンホルム会長は12日、同社の人工知能(AI)・ロボット工学への転換を主導できるのはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)しかいないとの認識を示す一方、マスク氏がCEOという肩書のままそれを実行するとは限らないと示唆した。
デンホルム氏はマスク氏について、「世代を代表するリーダー」だとブルームバーグテレビジョンのインタビューで強調。「今後10年ほどの間、テスラを率いていける人物はイーロンの他にいない」と語った。
取締役を長年務めているデンホルム氏は、テスラCEOの後継計画についての見解や、マスク氏に対する巨額報酬案の詳細を明らかにする中で、マスク氏への強い支持を示した。
また、マスク氏が最高製品責任者(CPO)など別の役職に就く可能性についても触れ、報酬プランの中にその選択肢は「考えられている」と明らかにした。

テスラ取締役会は今月、マスク氏への新たな報酬パッケージを発表した。最大で約1兆ドル(約148兆円)規模に達する可能性があり、11月の株主投票にかけられる。
この報酬は、今後10年間でロボタクシー(自動運転タクシー)事業拡大やEV2000万台販売、時価総額の大幅な押し上げなど、幾つかの目標を達成することで初めて満額を受け取れる仕組みとなっている。
また、テスラがロボティクスやAIといった新しい分野での成長を追求する中で、マスク氏の関心をテスラに引き留める狙いもある。同氏は2008年からCEOを務める一方、スペースXとxAI、ニューラリンク、ボーリング・カンパニーの4社も率いている。

デンホルム氏は、マスク氏が他社での活動と並行しながらも成果を上げてきたと評価し、「それがこれまで彼が結果を出してきたやり方だ」と述べ、「テスラ以外での創造的エネルギーが、むしろテスラの助けになっている」との見方を示した。
マスク氏は今年5月、今後5年はテスラのかじ取りを続けるとブルームバーグのインタビューで述べていた。
デンホルム氏はCEOの後継問題は「恐らく私が投資家から最も多く受ける質問だ」と話し、突発的な交代への緊急対応計画があり、長期的な後継者選定プロセスも今回の報酬案に盛り込んだと説明した。
「将来的に円滑な移行を進められるよう、適切なリーダーを確保したい」と述べ、そうした取り組みを「今回の計画に組み込んだのは非常に意図的な行動だった」と付け加えた。
原題:Tesla’s Chair Says Only Musk Can Lead Company’s Next Phase (2)(抜粋)
--取材協力:Craig Trudell.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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