トランプ米大統領が連邦準備制度(FRB)理事に指名したマイラン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、上院銀行委員会で4日に開かれた承認公聴会で、同氏がトランプ大統領に従うだけの人物との民主党の懸念に反論した。ただし、FRB理事に承認されてもCEA委員長の職務は維持する意向も示した。

マイラン氏は公聴会の質疑応答で、CEA委員長職を無給の休暇扱いとした上で、FRB理事として来年1月末までの任期を務めるつもりだと述べた。

公聴会の冒頭で同氏は、FRBの独立性を守る決意を述べ、自分自身の分析に基づいて判断すると約束した。中央銀行が抱える最重要任務は恐慌とハイパーインフレの予防だとも指摘。キャリアの多くを金融政策の研究に費やしたと述べる同氏は昨年、FRB改革案を多数の論文で提示し、その中には独立性を損なう内容もあった。

動画:上院銀行委員会で開かれたマイラン氏のFRB理事指名公聴会

「FRB理事就任が承認されれば、これまでFRBがそうしてきたように、私も独立して行動する」と、マイラン氏はスコット委員長(共和)の質問に答えた。

トランプ大統領が任命したFRB高官が独立性を保てない可能性に対しては、大統領の意向に従う形で政策が決定する恐れがあるとして、上院の民主党議員だけでなく共和党議員の一部からも懸念の声が上がっている。公聴会ではこうした不安の払しょくには至らず、FRB理事に就任してもホワイトハウスの要職を辞任しないことを同氏が明らかにしたため、懸念はむしろ強まった。

共和党議員は反対せず

上院銀行委の共和党議員らは、マイラン氏指名承認に反対する姿勢を見せなかった。公聴会後、共和党のティリス上院議員はブルームバーグの記者に対し、マイラン氏に賛成票を投じる意向を示した。これにより、上院本会議では党派に沿った形で速やかに承認される可能性が高まった。

ティリス議員は、トランプ氏がFRBに圧力をかけることを支持しておらず、金融政策におけるFRBの独立性を強く擁護する立場を取る。ただ、次期選挙には出馬しない。

一方、民主党のバンホーレン上院議員は、マイラン氏がCEAの職を辞さないことについて、FRBでの任務を短期間務めた後、元の職に戻る意向があるようにみえると指摘した。さらに、将来的にホワイトハウスに復帰できるよう、FRB在任中にはトランプ氏の意向に沿った行動を取るのではないかと質問した。

これに対しマイラン氏は、弁護士から助言を受けており、FRBでの長期任務に指名される場合にはCEAの職を辞任すると述べた。

また、政権内のどの人物からも利下げにコミットするよう求められたことはないと指摘した。ただ、大統領には別の形で忠誠を示した。

2020年大統領選挙

民主党の上院議員で最初に質問機会を得たウォーレン議員は、2020年の大統領選挙でトランプ氏が敗北したことを認めるかと、マイラン氏に尋ねた。

マイラン氏は「ジョー・バイデン氏は議会によって合衆国大統領に認定された」と述べ、この質問に対する直接的な回答を避けた。

また労働統計局(BLS)が2024年の選挙に影響を与える目的で雇用統計の数値を改ざんしたとするトランプ氏の主張についても、マイラン氏は見解を求められたが、同様に直接的な回答を避けた。

ウォーレン議員は「あなたはトランプ氏が望むことなら何でもやるということを、自分で明確にした」と切り返した。

マイラン氏は今年、CEA委員長就任を巡り共和党の上院議員から全会一致の支持を得ていた。

原題:Trump’s Fed Pick Draws Democratic Fire at Confirmation Hearing(抜粋)

(最後の段落に背景を追加して更新します。Miran氏の日本語表記を発音に合わせマイランに変更します)

--取材協力:Steven T. Dennis.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.